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利休啾々

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利休啾々

(りきゅうしゅうしゅう)

澤田ふじ子

(さわだふじこ)
[短編]
★★★☆☆☆

利休の死を扱った作品など、6編の短編を収録。蓬田さんの描く、土気色した磔刑にかけられた千利休像、何やら不吉な結末を想像させる装幀である。利休は秀吉より死を賜られたはず。「利休啾々」は、大徳寺山門に置かれた利休の木像の作者が、利休が秀吉より死を賜った理由を解き明かしてくれた。

「無明の宿」は、赤穂浪士の討ち入りにまつわる後日談。「暗闇心中」と「冬の虹」は、市井に暮らす人々のつかの間の幸福とやがてくる不幸を描く短篇小説。

「弥助の首」は、弥助と名付けられ、信長の従者となった黒人エステバニコが遭遇した本能寺の変を描く短篇。以前に大河ドラマで、信長の家来として黒人の大男が登場し、奇異に思ったが実在した人だったんだ。

妻との間に心の溝ができ、不和になった夫が、めぐらした奇計を描く「狐蕪村」は何ともいえない味の作品だ。

物語●「無明の宿」元禄十五年十二月二十二日、姫路藩の領内に暮らす間瀬定八のもとに、めでたい知らせが届いた。父の間瀬久太夫ら赤穂浪士が吉良上野介の首をとったという…。「暗闇心中」西陣の高機職人の岩太は、将来を誓ったおそでの継母で、家を出て小料理屋で働くお艶のもとへしばしば通い、家に戻るように説得を続けていたと…。「冬の虹」おけいが働く両国の料理茶屋に、貧しい服装をした中年の浪人者真壁源一郎がやってきて折詰めを頼んだ…。「弥助の首」昭和三年、京都のM大学人類学研究室・斎藤辰三郎教授のもとに、1個の頭蓋骨が持ちこまれた…。「狐蕪村」備後福山藩に祐筆として仕える草薙清兵衛は武士であることに、ずいぶん前から嫌気がさしていた。嫡男でなければ、芭蕉や蕪村を慕い俳諧の道に身を投じたいと思うことも一再ではなかった…。「利休啾々」七条仏所二十一代の康正のもとに、千利休の屋敷から、火急の使者・阿部鳴海がやってきた…。

目次■無明の宿|暗闇心中|冬の虹|弥助の首|狐蕪村|利休啾々|解説 大野由美子/澤田ふじ子 著書リスト

カバーイラスト:蓬田やすひろ
カバーデザイン:蓬田やすひろ
解説:大野由美子
時代:「無明の宿」元禄十五年十二月二十二日。「弥助の首」昭和三年、天正九年。「狐蕪村」与謝蕪村が俳諧の結社を京に作ったころ。「利休啾々」天正十九年二月十一日。
場所:「無明の宿」姫路、江戸・鉄砲洲。「暗闇心中」北野天満宮近く。「冬の虹」両国。「弥助の首」四条西洞院本能寺。「狐蕪村」備後福山。「利休啾々」烏丸通水銀屋町。
(徳間文庫・533円・03/10/15第1刷・285P)
購入日:03/10/05
読破日:03/11/08

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