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花僧 池坊専応の生涯

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花僧 池坊専応の生涯
花僧 池坊専応の生涯

(かそう いけのぼうせんおうのしょうがい)

澤田ふじ子

[芸道]
★★★★☆

『空蝉の花』『天涯の花』と並ぶ澤田さんの華道時代小説三部作の一つ。時代は、応仁の乱後から始まり、足利幕府が弱体化し、天皇家も22年間も即位の大礼が執行できなかった頃のお話。

主要人物たちの多くが、火災の犠牲になるということに時代を感じる。また、当時の公家の生活ぶりが史料を交えて記述してあり面白い。

芸事をテーマにすると、修業の厳しさやストイックさ、登場人物の偏執さ、専門用語の頻出により、堅苦しかったりわかりにくかったりでその芸事に興味がないと面白くないことが多いのだが、澤田作品ではそういったところが一切なくエンターテインメントとして楽しめる。チャンバラに飽きたらどうぞ。

物語●野盗の子という宿業を背負って、美濃国蘇原荘に生まれた太郎丸(坊)は、修験者明蓮坊に助けられ、京に出る。三条西実隆に仕える千世松を助けた縁で、実隆の小者となり、禁裏警護につき、内大臣久我豊通の娘貴子と出会う。
三条西家を追われた太郎丸は、土倉の傭兵となり、生計を立てる傍ら池坊の立花を学ぶ。吉野で行方不明だった明蓮坊の消息が十年ぶりにわかり、太郎坊は、京を離れ師と再会し磨崖仏を刻む手伝いをする。
六角堂頂法寺の学恵に花僧への志を告げて新参僧となる。やがて立花の真髄をきわめ、法院となった。華道池坊を隆盛に導いた中興の祖・専応の生涯を乱世の中に描く歴史長編。

カバー画:小市美智子
解説:武蔵野次郎
時代:延徳三年九月
(中公文庫・860円・1989/11/10)
購入日:1996/12/23
読破日:1997/02/09

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