五稜郭残党伝
(ごりょうかくざんとうでん)
佐々木譲
(ささきじょう)
[蝦夷]
★★★★
♪帯広出張に際して、蝦夷地ものを読みたくて、未読のものから本書を選んだ。佐々木譲さんというと、『エトロフ発緊急電』など、冒険小説やハードボイルド小説で知られる作家だ。現代もののイメージが強く、時代ものは意外だったので、購入した。札幌出身ということで、蝦夷地ものを書く素地は十分か。
解説の荒山さんが書かれている通り、まさに西部劇だ。敗残兵くずれのガンマン(実際、登場人物は刀より銃で決着させることが多い)あり、それをどこまでも追う討伐隊があり、先住民(アイヌ)があり、信仰のために新天地を目指す家族があり、という具合だ。
原田康子さんの『風の砦』や佐江衆一さんの『北の海明け』など、蝦夷地を舞台にした時代小説は、さほど多くないが名作ぞろいである。そういえば、冒険小説作家の船戸与一さんの『蝦夷地別件』も名作らしい。(未読なので、読んでみたい)
物語●昭和45年、北海道東部、別海町・床丹の海岸近くで、奇妙な塚が発掘された…。
伝習歩兵隊・蘇武源次郎と名木野勇作は、所属する軍が五稜郭で新政府軍に降伏に際し、蝦夷地へ逃れることになる…。
目次■はじめに/第一章/第二章/第三章/第四章/第五章/第六章/第七章/第八章/付記/解説・荒山徹