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酔いどれ小籐次留書 寄残花恋

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酔いどれ小籐次留書 寄残花恋酔いどれ小籐次留書 寄残花恋
(よいどれことうじとめがき・のこりはなよするこい)
佐伯泰英
(さえきやすひで)
[痛快]
★★★★☆

来島水軍流剣法の達人で、元豊後森藩藩士・赤目小籐次(あかめこうとうじ)が活躍する、シリーズ第3弾。前作のラストで戦いの末に傷つき、玉川上水の流れに身を投げた、小籐次がどんな姿で現れて、活躍振りを見せるか興味津々。

主人公の赤目小籐次は、まもなく五十に手が届く、中年で、五尺一寸(153センチ)の矮躯、お世辞にも格好いいとはいえない。その小籐次は見掛けによらず、来島水軍流剣法の遣い手。前作で、御鑓拝借騒動で威信を傷つけられた小城藩の能見一族を死力を尽くして倒し、一難去ったかと思われたところ、その怨みは佐賀本藩に伝播した。佐賀藩は「葉隠」の精神が息づく土地柄、小籐次に新たな試練がというのが今回のシチュエーション。

作者はそれ以外にも、いくつかの戦いを小籐次に与え、その活躍振りはますますエスカレートして行く。佐伯さんの他のシリーズの主人公同様に、快刀乱麻バッタバッタと敵を薙ぎ倒し、正義を貫くので痛快感が高く文句なしに面白い。

物語●赤目小籐次は、御鑓拝借騒動で威信を傷つけられた肥前小城藩の能見一族十三人の刺客と武蔵国小金井村で死闘を演じてすべてを倒した。傷を癒した小籐次は、大事な生計の道具を隠した地蔵堂に戻り、そこで、肥前佐賀本藩からの刺客に命を狙われた。肥前鍋島四家を敵に回すことになった小籐次は、怪我を直すことに専念するために、少しでも戦いの場から離れるべく甲斐国へ向った。その道中で、幕府の女密偵おしんと知り合いになり、甲府勤番支配の四千三百石の旗本・長倉若狭守実高が不正を働いているという話を聞き探索に同行するが…。

目次■第一章 柳沢峠越え/第二章 千ヶ淵花舞台/第三章 夕間暮れ芝口町/第四章 追腹暗殺組/第五章 雪降り蛤町

カバーデザイン:多田和博
時代:文化十四年(1817)晩秋
場所:武蔵国多摩郡上石原、小金井、銚子滝、黒川千軒、淵野辺、柳沢峠、甲府、教来石、尾白川渓谷、蔦木、芝口新町、深川蛤町、富岡八幡宮、木挽町、海辺大工町ほか
(幻冬舎文庫・571円・05/02/10第1刷・316P)
購入日:05/02/18
読破日:05/02/20

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