[amazon_image id=”4758430748″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]引札屋おもん―鎌倉河岸捕物控 (ハルキ文庫―時代小説文庫)[/amazon_image]
引札屋おもん 鎌倉河岸捕物控
(ひきふだやおもん・かまくらかしとりものひかえ)
(さえきやすひで)
[捕物]
★★★★
♪『橘花の仇』『政次、奔る』『御金座破り』『暴れ彦四郎』『古町殺し』と続く、鎌倉河岸の酒問屋に集う群像が活躍する捕物シリーズ第六弾。
メールをやり取りさせてもらっている豊島屋の吉村俊之さんから、以前に佐伯泰英さんとの交流ぶりをうかがったことがあったが、その結果がこの作品に反映されているとは、すごく親近感をもって読むことができた。あとがきで作者自らが執筆のいきさつを書かれているが、江戸の名店が現在も盛業中というのは、人の想像を超えた希有なことではないだろうか。
作者がフィクションと断り、吉村さんも残念ながら祖先には清蔵さんはいなかったとおっしゃられていたが、この「鎌倉河岸捕物控」シリーズの名脇役の清蔵さんにスポットが当てられることになり、その奥行きが広がり、ファンとしてはうれしい限りだ。
また、今回、政次が剣術の稽古に通っている、赤坂田町の直心影流神谷丈右衛門道場で目録を授与されたことも大きなトピックといえる。
物語●「山なれば富士、白酒なれば豊島屋」という惹句で江戸中に知れている鎌倉河岸の酒問屋豊島屋(としまや)は、数年後に創業二百年を迎える老舗だった。主人の清蔵は、この文句を利用して新規の絵引札の考案をしようとしていた。そんな折り、清蔵は、麹町に新しくできたばかりの引札屋の開店に出くわした。そこで、二十ニ、三で後家になり、商売を始めたばかりのおもんに一目ぼれした…。
目次■序章/第一話 七夕の殺人/第二話 三条長吉の小柄/第三話 水底の五千両/第四話 放生会の捕り物/第五話 千社札/終章/あとがき 豊島屋について