居眠り磐音 江戸双紙 残花ノ庭
(いねむりいわね・えどそうし・ざんかのにわ)
佐伯泰英
(さえきやすひで)
[痛快]
★★★☆☆
♪深川六間堀の金兵衛長屋に住む浪人・坂崎磐音が活躍する『居眠り磐音 江戸双紙』シリーズの第13弾。
半年ほど前に、システムエンジニアをしていて、とても忙しくしているのに、膨大な読書量の方に話を聞いたことがあった。秘密は、ハーレクイーンロマンスで冊数を稼いでいると言っておられた。古本屋でまとめて買ってきて、休日に5、6冊一気に読んでしまうそうだ。私の場合、読みやすい時代小説という佐伯泰英さんの作品が『居眠り磐音』シリーズがそれにあたる。
山手樹一郎作品に通じる明朗型のヒーロー、坂崎磐音が活躍するチャンバラもの。新作の『残花ノ庭』で、第13作を数える。タイトルはいずれも「○○ノ○」というように形容詞+「ノ」+場所を表す名詞というパターンを踏襲している。
最新作では、磐音に思いを寄せる三人の女性、元許婚の奈緒、両替屋の奥女中おこん、因幡鳥取藩の重臣の娘桜子の、微妙な関係に変化が生じる。今まで誰に対してもいい人を演じていた磐音がぶつかる悩み、そして、師の佐々木玲圓のかける言葉、今回の一番のポイントだろうか。今後の展開がますます気になる。
物語●坂崎磐音は、深川六間堀北之橋詰の鰻屋宮戸川の小僧・幸吉のおともで、谷中日暮里の木綿問屋高嶋屋の隠宅まで、蒲焼の出前を届けにでかけた。隠宅では、隠居の百蔵と若い妾おくめが、五、六人の男たちから高嶋屋の当代の醜聞をネタに金子をゆすり取られようとしてた…。
目次■第一章 花びら勝負/第二章 おそめの危難/第三章 夜半の待ち伏せ/第四章 正睦の上府/第五章 カピタン拝謁