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おぼろ隠密記 妖し小町

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おぼろ隠密記 妖し小町

(おぼろおんみつき・あやかしこまち)

六道慧

(りくどうけい)
[伝奇]
★★★☆

和菓子屋の看板娘が隠密だったという設定で、田沼時代を描く新感覚時代小説。ストイックなかつての時代小説の主人公たちとはかなりかけ離れた主人公が登場する。コミックに近くなんでもあり、怖いものなしといった感じで、時代小説のまさにニューウェーブ。いい意味で裏切ってくれる。

主人公はうら若き女性三人組(和菓子屋の一人娘華月、宮本武蔵を信奉する男装の剣士・宮本暁良、平賀源内の姪でからくり師の平賀拓海)が、個性的でありながら、極めて現代風。そして、三人以上に異彩を放つのが、華月の母千万子である。超人気者狂で、流行物や旬のもの、人気作家や人気役者に目がないという設定で、物語を面白くしてくれる。

物語●吉原で花魁が殺された。十日前の事件と同様に血まみれのむごたらしい姿で発見されたという。日本橋和菓子屋「華月堂」の一人娘・華月は、事件を伝えるかわら版を求めた。実は華月は、幕府の隠密で、不思議な陰陽術の遣い手であった。そして、この猟奇的な事件の謎の究明に乗り出した…。

目次■序章/第一章 幻身/第二章 幸福の箱庭/第三章 陽の爻と陰の爻/第四章 朧花魁/第五章 雌蛇/第六章 夫婦八卦の呪/あとがき

カバーイラスト:皇名月
時代:天明元年(1781)二月
場所:吉原、日本橋、尾張家上屋敷、小石川養生所、薬研堀ほか
(光文社文庫・552円・00/08/20第1刷・338P)
購入日:01/01/13
読破日:01/01/30

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