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霧の橋

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霧の橋

霧の橋

(きりのはし)

乙川優三郎

(おとかわゆうざぶろう)
[市井]
★★★★☆☆

第七回時代小説大賞受賞作。ちなみに、第一回は、『雁金屋草紙』(鳥越碧)、以降『本多の狐』(羽太雄平)、『西鶴人情橋』(吉村正一郎)、『海鳴りやまず 八丈流人群像』(藤井素介)、『水の砦 福島正則最後の闘い』(大久保智弘)と続く。

そういえば、先ごろTV朝日系で第六回受賞作の『蘭と狗』(中村勝行)が、村上弘明主演で放映された。油断していて、TV欄をチェックしていなかったのでちゃんと見れなかったのが残念だ。

武士の誇りと商人の矜持。藤沢周平ライクな作品で、ラストシーンまで端整に描き切った筆力に感動した。次回作がとても楽しみだ。

物語●陸奥田村家(一関藩三万石)の勘定組頭の江坂惣兵衛は、小料理屋の女将紗綾をめぐって錯乱した同役の林房之助に斬殺される。惣兵衛の次男与惣次は、仇討を果たし、帰国するが兄の公金横領の末の切腹、江坂家断絶により国外追放となる。そして刀を捨てて、浅草田原町で、家付きの娘おいとを娶り、商人紅屋惣兵衛として第二の人生を送っていた。やがて、小さいながらも順調な商いに、黒い陰謀の影が…

カバー画:小村雪岱
装幀:菊地信義
時代:明示されず
(講談社・1545円・97/03/10)
購入日:97/3/27
読破日:97/5/12

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