2024年時代小説(単行本/文庫書き下ろし)ベスト10、発表!

十手人

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十手人十手人
(じつてにん)
押川國秋
(おしかわくにあき)
[捕物]
★★★★☆

最後の時代小説大賞(第10回)受賞作品。プロフィールによると、作者は昭和10年生まれのフリーのシナリオライターで、「遠山の金さん」「半七捕物帳」「人形佐七捕物帳」「必殺シリーズ」など、数多くの脚本を執筆したそうだ。随所に新人らしからぬ技を見せてくれる。

歴代の時代小説大賞受賞作は、以下の通り
第1回 雁金屋草紙 鳥越碧
第2回 本多の狐 徳川家康の秘宝 羽太雄平
第3回 西鶴人情橋 吉村正一郎
第4回 海鳴りやまず 八丈流人群像 藤井素介
第5回 水の砦 福島正則最後の闘い 大久保智弘
第6回 蘭と狗 中村勝行
第7回 霧の橋 乙川優三郎
第8回 仲蔵狂乱 松井今朝子
第9回 東京城残影 平山壽三郎
第10回 十手人 押川國秋

喧嘩がもとで、軽敲(たたき)と入墨の刑に処せられた二十三歳の若者・源七は、南町奉行所定廻り同心・佐々木弦一郎に見込まれて、捕物に加わることになった…。この源七の江戸っ子ぶりが魅力的だ。一本気で、熱くなりやすく、人情に厚い。好きな女に素直になれず、友情を大切にする。彼を支える、渋柿長屋の面々や、弦一郎とその小者喜助、若党佐平次らもいい味を出している。シリーズ化していきそうなので、今後にも期待したい。

物語●「流刑の女」堀川から上げられたずぶ濡れの女が手足を縛られたままで発見された。小間物問屋に奉公していた娘・菊が、五両を盗んだ疑いをかけられ、思い余って高橋から身を投げたのだ…。「無情の名残」一糸まとわぬ若い女の死骸が、川から引き上げられた。磔刑のように手足が五寸釘で分厚い戸板に打ち付けられていた…。「獄門台の子わかれ」源七は、大家の藤兵衛が右袖に血を付けているのを見咎めた。わりない仲の女が妾宅で殺されているのを見たという…。「一網打尽」佐渡送り(佐渡の鉱山の水替え人足の制)の二人の無宿人が中山道深谷宿で目籠ごと奪われたという…。「涅槃の雨」大捕物によって、佐々木弦一郎や源七らの株が大いにあがったが、年増の女が若い侍を殺すという事件が起こった…。

目次■第一章 流刑の女/第二章 無情の名残/第三章 獄門台の子わかれ/第四章 一網打尽/第五章 涅槃の雨

装画:小村雪岱(邦枝完二『おせん』新小説刊より)
カバーデザイン:菊池信義
解説:結城信孝
時代:千葉周作の道場・玄武館があったころ。
場所:稲荷橋、横山町、上柳原町、柳原土手、小伝馬町、南茅場町、芝田町、日比谷町、永代橋、駒形ほか。
(講談社・1,500円・00/03/10第1刷・269P)
購入日:00/03/15
読破日:00/04/01

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