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闇の剣士 麝香猫

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闇の剣士 麝香猫闇の剣士 麝香猫
(やみのけんし じゃこうねこ)
南原幹雄
(なんばらみきお)
[伝奇]
★★★★☆

京を舞台に、勤皇方を助ける謎の人物といえば…。以前も書いたが、南原さんの作品は、映画的である。この作品は、「鞍馬天狗」を連想させ、読者をニヤっとさせてくれる。

ぼくがサッカーファンということもあるが、蹴鞠大納言こと、白河惟在(鷹司政通の末子)という登場人物が興味深い。蹴鞠をテーマにした小説があったら、ぜひ読んでみたい。

また、敵役が「京の大老」こと長野主膳ということで、面白さが倍増した。彼は鳥居甲斐守と並ぶ、江戸時代を代表するスーパー・ヒール(悪役)なのだ。その関連で、島田左近や目明し文吉も登場する。

京都七口―粟田口、東寺口、丹波口、清蔵口、鞍馬口、大原口、荒神口―が、物語の展開の中で大きな位置を占めているが、京の地理に不案内なので、いま一つピンとこないのが少し悔しい。東京に住んでいない人が江戸を舞台にした小説を読むとき、同じようなことを感じるのかな。

物語●開国か、尊攘か―風雲急を告げる安政五年。彗星が出現し、コロリが流行する京都を襲った第三の脅威こそ、大老・井伊直弼による安政の大獄にほかならない。しかも、京の脱出口が封鎖され、井伊の謀臣・長野主膳が粛清の指揮をふるう中で現れたのが、麝香猫を頭領とする闇の一団だった。

目次■安政の大獄/蹴鞠大納言/麝香猫/麝香の匂い/尊皇和尚/御所歌会/白梅図子/薩摩屋敷/相国寺/居酒屋米半/竹の道/淀川下り/屋根裏部屋/蹴鞠の日/燗酒の屋台/東殿町/清水寺参道/禁裡の賊/作戦会議/長坂口/解説

カバー:百鬼丸
解説:縄田 一男
時代:安政五年九月
(角川文庫・544円・96/6/25発行)
購入日:97/5/31
読破日:97/6/7

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