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番町牢屋敷

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番町牢屋敷 

(ばんちょうろうやしき)

南原幹雄

(なんばらみきお)
[捕物]
★★★☆☆

番町皿屋敷にひっかけたタイトルだろうか。南町奉行根岸肥前守正虎が主人公の異色捕物帳。 根岸肥前守と聞くと、『はやぶさ新八御用帳』(平岩弓枝著)や『霊験お初捕物控』(宮部みゆき著)に登場するお奉行で、『耳嚢』の鎮衛を思い出すが、本編の主人公は正虎となっている。描かれている時代は、根岸肥前守鎮衛が活躍していた頃と一致する。

前の南町奉行の根岸肥前守正虎が、職制の壁などから町奉行の権限の及ばない犯罪を取り締まるために組織した、根岸組(同心鹿間梅次郎、桜木俊八、与力松原庵之助ら)が活躍する痛快捕物帳。

架空の警察組織が活躍するパターンは、同じ作者の中町奉行ものを思い出させる。

物語●「番町牢屋敷」南町奉行根岸肥前守正虎は、物産問屋を抜け荷の疑いで引ったてるが、社寺と雄藩が絡んみ放免することになる…。「根岸牢」尾張藩御用達の材木問屋の主人と手代が何者かに惨殺された…。「六月の、赤い月」出合い茶屋に近い不忍池のほとりで、二太刀で斬られている美人の死体が見つかった…。「美女の寺」芝神明宮や天徳寺に一人で参拝した若い娘が消息不明になる事件が続いて起こった…。「春嵐駆ける」本所・深川で大きな火事があり、被害が甚大な中で…。「女人蔵」非番の南町同心・鹿間梅次郎と桜木俊八は、北町奉行所の前で、行方不明の許婚の探索を訴えている若い男とであった…。「賄賂千両」雄藩の留守居役の寄合に呼ばれた二人の芸者が帰り道で何者かに拉致される事件が起こった…。「掏摸の銀蔵」居酒屋を営むおせんの前に、昔の男・銀蔵が四年ぶりに姿を現した…。「札差大島屋」居酒屋千屋に十六、七の武家娘がやってきた。八丁堀の旦那に何か相談したいことがあるらしい…。

目次■番町牢屋敷|根岸牢|六月の、赤い月|美女の寺|春嵐駆ける|女人蔵|賄賂千両|掏摸の銀蔵|札差大島屋|解説 磯貝勝太郎

カバー装画:柳澤達朗
カバーデザイン:熊谷博人
解説:磯貝勝太郎
時代:文化十二年(1815)
場所:本芝町三丁目、番町、芝田町、材木町、銀座四丁目、池之端仲町、下谷同朋町、下谷広徳寺、芝神明、西久保神谷町天徳寺、本所回向院、富坂町、明石町、石川島寄場、日本橋通旅籠町、蔵前天王町ほか
(小学館文庫・657円・00/11/01第1刷・389P)
購入日:00/10/07
読破日:00/10/30

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