保科肥後守お耳帖
(ほしなひごのかみおみみちょう)
(なかむらあきひこ)
[武家]
★★★☆☆
♪最近、時代小説に関心をなくしているようだった、角川文庫の久々の歴史小説フェアの中の一冊。直木賞作家で、今後の歴史小説の担い手、会津ものの第一人者らしい(この人の本は、初めて)。
アームチェア・デティクティブを予想していただけに、一話めが少年の語る一人称体で読みづらかった。
白虎隊でお馴染みの会津藩の始祖が、保科正之だったとは知らなかった。また、戊辰戦争での会津藩の行動が名君ゆえの悲劇だったとは…歴史って面白いもの。
収録作品は、「会津騒動ふたたび」正之の娘、媛姫の休止の謎を解く。「弥太之進は踊る」快男児小弥太の推理が冴える。「第二の助太刀」正之の寵臣が不審な刃傷沙汰の末、殺された。「馬之助奇譚」丹頂鶴の飼育係を命じられた親子を襲った事件とは…。作品集中いちばんの秀作。
物語●会津藩初代藩主の保科正之は、徳川三代将軍家光の異母弟あたり、幕藩体制確立期に将軍を見事に補佐した名君として知られる。正之は保科家の秋霜烈日の家風を伝えながらも、あたたかく清廉な人柄で人望を集め、会津の士風の基礎を築いた。
会津をテーマに、歴史の陰に葬られた人々の姿を丹念に描いてきた著者が、会津藩草創期に起きた数々の難事件を解決した正之の、温情にあふれた名裁きや人となりを余すところなく語る連作時代小説。
正之に仕える十六歳の少年武士が、悪行を重ねる厩司夏目伊織を懲らしめる「夏目伊織の門人」をはじめ、五話を収録。
カバーデザイン:菊地信義
カバーイラスト:大山高寛
時代:寛永十八(1641)年、寛文十(1670)年
(角川文庫・560円・1997/02/25)
購入日:1997/02/27
読破日:1997/03/06
カバーイラスト:大山高寛
時代:寛永十八(1641)年、寛文十(1670)年
(角川文庫・560円・1997/02/25)
購入日:1997/02/27
読破日:1997/03/06