明治人ものがたり
(めいじじんものがたり)
森田誠吾
(もりたせいご)
[読み物]
★★★★
♪今まで明治という時代が苦手だった。薩長の専横と、欧米の列強に追いつけ追い越せという風潮に馴染めなかったのだが…。岩波新書(ちなみに岩波書店の本というのも、何か恐れ多いって感じで苦手です)には、「日本が若かったころ。」という帯が付いていたが、まさしく若々しい日本の姿が浮かび上がるような本。
「天皇、二十三歳。新しい侍女と深い仲となり、皇后ご立腹。岩倉具視、その和解のために苦心。…」
睦仁天皇とは、明治天皇のこと。後に明治大帝として神格化されることになるが、ゴシップが報道された、明治七年当時は、まだ若く元勲たちに頭を押さえられていたらしい。
森銑三さんは、学芸史家で、井原西鶴の著作のうち、『好色一代男』のみが西鶴自身の筆によるものという、学説で異端視されていた人。確か中公文庫で『偉人暦』を発行していたはずなので、入手してみよう。
森鴎外の娘、茉莉さんは、自由闊達でモダンで面白い、彼女をモデルとした長編が読んでみたい。
読みどころ●「睦仁天皇の恋」明治初等、宮廷の侍女と若き天皇の恋愛騒動が新聞で報道された…。「学歴のない学歴」学界への孤独な闘いを挑んだ森銑三とは何者か…。「マリとあや」同時代を生きた、森茉莉と幸田文の娘時代とそれぞれの父との関係を描く…。
目次■はじめに|睦仁天皇の恋|学歴のない学歴|マリとあや|おわりに|参考文庫本一覧