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本能寺の首 人間の剣 戦国編(一)

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本能寺の首 人間の剣 戦国編(一)本能寺の首 人間の剣 戦国編(一)
(ほんのうじのくび・にんげんのけん・せんごくへん1)
森村誠一
(もりむらせいいち)
[戦国]
★★★☆☆☆

一振りの古刀・無銘剣が、動乱の時代の闇を斬る“森村通史”「人間の剣」シリーズの文庫での刊行が始まった。帯に日本ミステリー文学大賞受賞と銘打ってあった。

一振りの剣をめぐる物語というと、気鋭の作家たちによるリレー形式の『運命の剣 のきばしら』を思い出すが、本作品の剣は以下のように描写されている。

長さ二尺四寸(72.72cm)、元幅一寸(3.03cm)、反り七分(2.12cm)、柄頭は鉄、縁も鉄、柄は鮫皮で包み、組糸は菱に巻いている。目貫なし、青黒い板目肌、沸出来で刃紋は涛瀾に乱れ交り、鍔は丸形鉄板、鍔の鍍金も鞘の漆も剥げている。青黒い地肌に叢雲のような刃紋が簇がり立ち、深海のように名状し難い色合いを帯びていた。

戦国編は単行本では1冊だったものが、文庫版では『本能寺の首』と『関ヶ原の雨』の2分冊になっている。そのため、この巻では、織田信長の中心に無銘剣がいろいろな人から人の手に渡されている構成になっていて、無銘剣を通して戦国史が俯瞰できて面白い。

「人間の剣」シリーズは、今後毎月1冊ずつ刊行されて行くそうで、楽しみである。

物語●「桶狭間の露」松平竹千代(のちの徳川家康)の付人・植村新六郎は、無住寺で盗賊より無銘剣を譲られた…。「川中島の霧」百姓の丑松は妻と子を、村に押し込んで来た武田、あるいは上杉軍の兵士によって連れ去られ、両軍に対して無銘剣をもって復讐戦を挑もうとした…。「売買された布教」宣教師ルイス・フロイスは、丑松より無銘剣を譲られた…。「姉川の血飛沫」小谷城では、浅井家の重臣たちが集まり、主君浅井長政を囲んで、越前に侵攻した織田信長への対応策を検討していた…。「人間の敵」浅井家の重臣・遠藤喜右衛門の郎党・富田才八は、主人より信長を討つことを託され、無銘剣を授けられた…。「長篠の十字架」鳥居強右衛門は、周囲から「うど」と呼ばれて蔑まれていたが、主君の奥平信昌より温かい言葉をかけられ感激し、一命を投げ打つ覚悟をした…。「三日月の誓い」三河国設楽原の古戦場に、尼子浪人・山中鹿介がやってきた…。「悲運の英器」安土に家康の使者として派遣した家老・酒井忠次が浜松に帰ってきて、悪い報せをもたらした…。「本能寺の首」明智光秀は、家康と穴山梅雪をもてなすための接待役を命じられたが、料理のことで信長より叱責され、饗応役を解任された…。「小栗栖の闇」光秀は本能寺で信長を討った後、その勢いに乗って秀吉討伐に向かうことをせずに、畿内の平定を優先させたが…。

目次■桶狭間の露|川中島の霧|売買された布教|姉川の血飛沫|人間の敵|長篠の十字架|三日月の誓い|悲運の英器|本能寺の首|小栗栖の闇

カバー写真:AM
カバーデザイン:多田和博
時代:「桶狭間の露」天文二十ニ年。「川中島の霧」永禄四年。「売買された布教」永禄八年。「姉川の血飛沫」元亀元年。「人間の敵」天正元年。「長篠の十字架」天正三年。「三日月の誓い」天正四年。「悲運の英器」天正七年。「本能寺の首」天正十年五月。「小栗栖の闇」天正十年六月。
場所:「桶狭間の露」駿府、桶狭間。「川中島の霧」川中島。「売買された布教」堺。「姉川の血飛沫」、「人間の敵」小谷城。「長篠の十字架」長篠。「三日月の誓い」安土城。「悲運の英器」浜松。「本能寺の首」本能寺。ほか
(中公文庫・648円・03/12/20第1刷・298P)
購入日:04/01/03
読破日:04/01/09

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