藩校早春賦
(はんこうそうしゅんふ)
宮本昌孝
(みやもとまさたか)
[青春]
★★★★☆☆
♪読み味のよさ、読後の清涼感で定評のある、宮本作品。この本も、何回も読んでみたい快い物語だ。南伸坊さんの素敵な絵(挿絵もあり)とあいまって、ユーモアに満ちた、過ぎ去った若き日のの郷愁がよみがえる青春小説。
主人公の少年たちは、もちろん、脇役まで登場人物が個性的に描かれていて楽しい。続編が読みたい。
物語●新吾十五歳、仙之助十五歳、太郎左十六歳、ともに直心影流高田道場に通う仲間である。その身の上に、大事件が起こった。藩校ができることになったのである。藩校剣術所の教授の座を巡って、藩の軽輩の子弟が門弟の大半を占める高田道場と、同じ直心影流で、中・上級藩士の子弟が通う興津道場の間で、御前仕合を行うことになった。対戦するのは、道場主同士ではなく、双方から十五歳から十八歳までの門弟五人ずつ…。
目次■学びて時にこれを習う/巧笑倩たり、美目へん(目+分の一字)たり/剛毅木訥、仁に近し/幸いにして免るるなり/たれか学を好むとなす/知者は水を楽しむ/君子は下流に居ることを悪む