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ぼんくら

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ぼんくら
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宮部みゆき
(みやべみゆき)
[捕物]
★★★★☆

怠け者の本所深川方の同心・井筒平四郎とその甥で超美形少年の弓之助が、長屋で連続する事件の謎に挑む長篇時代ミステリー。事件が起こるたびに長屋の住人が減っていくという趣向がアガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』を彷彿させて面白かった。

随所に宮部さんらしいところが見られてファンにはたまらない一冊。まわりにあるものを何でも鯨尺で測ってしまう弓之助、近眼の美少女みすず、言われたことを何でもそのままの形で記憶してしまう人間コンピュータの少年おでこなどなど、登場人物も魅力的。時代設定は明記されていないが、『初ものがたり』に登場する、回向院の茂七親分が米寿を迎えると書かれていた。また、若い牢屋医師の名前が、「登」というのには、作者の遊び(『赤ひげ診療譚』や『獄医立花登手控えシリーズ』など、時代小説の若い医師の名前に「登」が多い)を感じてニヤっとした。

物語●鉄瓶(てつびん)長屋で八百屋を営む富平の長男が、土間で殺されていた。現場で、血がついた浴衣を着た妹のお露は、「殺し屋が来て、兄さんを殺してしまった」と言った。その後すぐ、お露への疑惑を晴らす証言をした鉄瓶長屋の差配人の久兵衛が失踪してしまった。代わりにやってきた新しい差配人は、何と二十七歳の若者佐吉だった…。

目次■殺し屋/博打うち/通い番頭/ひさぐ女/拝む男/長い影/幽霊

装画・題字:村上豊
装幀:緒方修一+高橋清美
時代:明記されず
場所:深川北町、築地、明石町、八丁堀、柳原町三丁目ほか
(講談社・1,800円・00/04/20第1刷・513P)
購入日:00/04/22
読破日:00/05/27

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