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あやし ~怪~

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あやし ~怪~

(あやし)

宮部みゆき

(みやべみゆき)
[ホラー]
★★★★

うーん、また売れそうな本だな。ハードカバーにしては、手頃な価格で、しかも流行りの奇談もの。この作品をきっかけに時代小説のファンが増えればいいな。

奇談小説ながら、いかにも宮部さんらしいちょっとほのぼのして余韻の残る、読み味がいい作品ぞろい。とくに「布団部屋」と「安達家の鬼」、「女の首」の話がいい。

「時雨鬼」と「灰神楽」に、本所元町の岡っ引・政五郎親分が出てくるが、『ぼんくら』に出ていた回向院の茂七親分の後継者である政五郎と同一人物だろうか? ちょっと気になるところだ。

江戸切絵図で、「灰神楽」の舞台になっている、桐生町五丁目が見つけられなかった。相生町はあるのだが…。

物語●「居眠り心中」享和年間に、日本橋通油町のとある木綿染手拭問屋が作り売り出した、“物語模様”の手拭いが流行し、その手拭いを使って心中する事件が四件続いたという…。「影牢」蝋問屋で、都合七人もの死人が出るという忌まわしい事件が起きた。与力が生き残った店の老番頭を訪ねてきた…。「布団部屋」酒屋の兼子屋は、代々の主人が短命であることで知られていた。そんな兼子屋で、若い女中が一人、突然、おびただしい鼻血を出して頓死るという事件が起こった…。「梅の雨降る」担ぎの油売りの父の商いの手伝いができるようになった箕吉は、一つ上の姉を憎くて憎くてしょうがなかった。そんなある日、…。「安達家の鬼」筆と墨を商う小さな店・笹屋の嫁は、嫁入り前には、笹屋と商いで付き合いの深い紙問屋の女中だった。このおかしな縁談には訳があった…。「女の首」母親を亡くした太郎は、妙に手先が器用だったが、物心ついてから口がきけなかった。そんな太郎が、袋物屋に奉公にあがることになった…。「時雨鬼」お信は、奉公先に内緒で、桂庵にやってきた。桂庵には五年前に女中奉公を世話してくれた主人の代わりに、顔立ちの美しい大年増のおかみさんがいた…。「灰神楽」本所元町の政五郎親分のもとに、下駄屋から奉公人が店のなかで刃傷沙汰を起こしたのですぐ来てもらえないかという遣いがあった…。「蜆塚」桂庵を営む米介は、亡き父の友人の見舞いに、御蔵蜆を馴染みの魚屋から買った…。

目次■居眠り心中|影牢|布団部屋|梅の雨降る|安達家の鬼|女の首|時雨鬼|灰神楽|蜆塚

装画:方緒良
装丁:角川書店装丁室
時代:「居眠り心中」文化四年。「布団部屋」文化十一年十月。
場所:「居眠り心中」通瀬戸物町、大伝馬町一丁目。「影牢」深川六間堀町。「布団部屋」深川永代寺門前東町。「梅の雨降る」北六間堀町。「安達家の鬼」上洲・桑野(架空か)。「女の首」本所一つ目橋。「時雨鬼」三間町。「灰神楽」桐生町五丁目。「蜆塚」浅草御蔵、蔵前元町。
(角川書店・1,300円・00/07/30第1刷・281P)
購入日:00/07/29
読破日:00/08/14

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