天保図録 上・中・下
(てんぽうずろく)
(まつもとせいちょう)
[武家]
★★★☆☆☆
♪松本清張の小説を初めて読んだ。しかも、珍しい時代ものだ。豊富な史料に裏打ちされた骨太の作品。あとがきでも書いているように、終盤、これから盛り上がるぞというところで、駆け足になってしまったのが残念。まあ、そのままいっていたら、全5冊ぐらいになりそうな勢いだったが。
江戸時代屈指の悪役、鳥居甲斐守耀蔵が主人公。本当に救いのない奴、読んでいて何度唾棄したくなったことか。いつか、鳥居をよく描いた作品を読んでみたい。
物語●幕府を操縦したくて、裕福な唐津藩から浜松へ移ってきた、水野越前守忠邦。老中筆頭になり、財政逼迫にあえぐ幕府を救うべく天保の改革を打ち出したが・・・。
そのダイナモとなるのが、南町奉行・鳥居耀蔵と、奸智たけた用人・本庄茂平次。この二人に対抗する旗本・飯田主水正。やがて、大奥、紀州藩、反水野の包囲網ができあがる。