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嗤う伊右衛門

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嗤う伊右衛門嗤う伊右衛門
(わらういえもん)
京極夏彦
(きょうごくなつひこ)
[ホラー]
★★★★☆

京極堂もののときから、時代小説っぽいテイストを感じていたが、やっぱり京極さんの時代小説はいいなあ。

今回は、タイトルからもわかるように、鶴屋南北の「東海道四谷怪談」(文政八年初演)の京極夏彦版。歌舞伎や映画で有名であるが、通して観たことはなかった。「四谷怪談」のもつおどろおどろしさが京極さんの世界と融合していて、これからの時期にぴったりの作品だ。

京極さんの特徴のひとつに、キャラクターの出し入れのうまさがあげられる。今回も目次からわかるように、登場人物名を各章の見出しに入れていて、各章ごとに中心人物を変えながらも巧みにストーリーを展開している。

本文中の葛飾北斎の挿画がまた雰囲気を醸し出していてよかった。

物語●貧乏浪人境野伊右衛門は、御行(願人坊主)の又市の仲人口で、御先手組同心民谷又左右衛門の娘・岩の婿となる。岩は、先年患った、疱瘡の後遺症か、髪は縮れて白髪が雑じり、左の額には黒痘痕、左眼は白く濁って見えなくなっていた…。

目次■木匠の伊右衛門/小股潜りの又市/民谷岩/灸閻魔の宅悦/民谷又左右衛門/民谷伊右衛門/伊東喜兵衛/民谷梅/直助権兵衛/提灯於岩/御行の又市/嗤う伊右衛門

装画:森流一郎
装幀:渡辺和雄
時代:文政八年(1825)以前
(中央公論社・1900円・97/6/20発行)
購入日:97/6/20
読破日:97/6/23

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