魔剣 2 朱雀ノ巻
(まけん・2・すざくのまき)
栗本薫
(くりもとかおる)
[伝奇]
★★★☆☆☆
♪執筆当初は、「玄武ノ巻」「朱雀ノ巻」「白虎ノ巻」「青龍ノ巻」と4巻で完結する予定だったらしい。ところが、発表誌の不定期刊行などのために、2巻目で執筆は止まっている。あとがきによると、当分続きは描かないらしい。未完をもってよしと考えているようである。もっとも読者側としても、続きは読みたいが、終ってほしくなく、謎は謎のままであってほしいという願望があるのも事実だ。
「黒の旦那」は、大○○○か、そして「髑髏兵庫」は、剣豪の××××かなどといろいろ想像させてくれる部分があっていい。
一点だけ注文があるとすれば、地名に誤りがあること。越後村上が越前村上と記されているのが残念。江戸からの方向が違ってしまうので、辻褄が合わなくなってしまうのだ。歌舞伎の小説化を目指して、考証を重視しないという考えは理解できるが…。
物語●姫衆と呼ばれる女忍群にさらわれた弓月進八郎が戻ってきた。進八郎の弟弟子で、剣術道場の水谷道場の留守を守る、池田大助は、進八郎の帰還を喜んだが、どこか今までと違う様子に違和感をもった。その大助が根津の流連不動で、多宝院の青道心・日心と怪人・宮比羅重蔵に襲われかけて絶体絶命のピンチ。そこに現われたのは、ぞろりと黒い着物を着流して、髑髏の紋の浪人、髑髏兵庫だった…。
目次■二十一 新月の章(一)/二十二 新月の章(二)/二十三 新月の章(三)/二十四 新月の章(四)/二十五 新月の章(五)/二十六 不動の章(一)/二十七 不動の章(二)/二十八 不動の章(三)/二十九 初音の章(一)/三十 初音の章(二)/三十一 初音の章(三)/三十二 初音の章(四)/三十三 凶星の章(一)/三十四 凶星の章(二)/三十五 凶星の章(三)/三十六 凶星の章(四)/三十七 北辰の章(一)/三十八 北辰の章(二)/三十九 北辰の章(三)/四十 北辰の章(四)/あとがき/解説 日下三蔵