魔剣 1 玄武ノ巻
(まけん・1・げんぶのまき)
栗本薫
(くりもとかおる)
[伝奇]
★★★☆☆
♪栗本さんの伝奇時代小説のデビュー作。『神州纐纈城』の国枝史郎さんと都筑道夫さんと歌舞伎の影響を受けた作品。美少年、美少女、美男美女と醜悪な怪人ばかりが登場し、おどろおどろしいトーンが全体に漂い、甘く危険な香りがする。
次が読めないストーリー展開が魅力。根謬多(こんぴゅーた)や風留素比度(ふるすぴーど)、細留(ざいる)など、都筑さんばりの当て字にニヤリとした。
物語●十七歳の少年掏摸・直次郎は、三河島の多宝院の祈祷所に忍び込もうとするとき、柔弱と贅沢と悪趣味を絵に描いたようないでたちの無頼の旗本・弓月進八郎と出会い、闘った挙句、意気投合した。直次郎は、弟分の敵討のために、進八郎は彼をなぶった武家小姓の九重優之助(なんと、直次郎と瓜ふたつ)の行方をおって、祈祷所の前にやってきたのだった。
目次■一 路上の章(一)/二 路上の章(二)/三 路上の章(三)/四 弁天の章(一)/五 弁天の章(二)/六 怪異の章(一)/七 怪異の章(二)/八 怪異の章(三)/九 女賊の章(一)/十 女賊の章(二)/十一 女賊の章(三)/十二 女賊の章(四)/十三 まゆらの章(一)/十四 まゆらの章(二)/十五 蛟龍の章(一)/十六 蛟龍の章(二)/十七 奇々の章(一)/十八 奇々の章(二)/十九 髑髏の章(一)/二十 髑髏の章(二)/あとがき