哄う合戦屋
(わらうかっせんや)
北沢秋
(きたざわしゅう)
[戦国]
★★★☆☆☆
♪単行本刊行時に、多くの書店員に絶賛された戦国エンターテインメント小説を遅ればせながらを読む。戦国時代小説は、江戸ものの後に回していたが、もっと早く読むべき作品だった。反省の弁がでるほど面白かった。和田竜作品が好きな人は楽しめるはず。
作品の舞台は中信濃(松本周辺)、訪れたことがあり、それなりに知っているはずの場所だったが、物語を読んで新発見があって大いに楽しめた。当時の中信濃は守護代小笠原長時が大きな勢力をもっていたが、数多く豪族が独立して統一が遅れていたという。ちなみに、遠藤吉弘は架空の人物のよう。主人公の一徹は最初、北信濃を治める村上義清に家臣として仕えていたという設定。
『哄う合戦屋』の魅力のひとつは、主人公で天才軍師・石堂一徹のキャラクター造形。戦国シミュレーションゲームの主人公のような戦上手ぶりながら、天才であるがゆえの孤高さと現代人が理想とする優しさを併せ持っていて、共感ができて、一気に読ませる。
物語●天文十八年(1549)。甲斐の武田晴信(後の信玄)と越後の長尾景虎(後の上杉謙信)に挟まれた中信濃は、守護代の小笠原長時をはじめ多くの豪族が独立して反抗を繰り返し、統一が遅れていた。その中信濃の横山郷を治める豪族・遠藤吉弘のもとに、天才軍師の石堂一徹が流れ着いてきた…。
目次■第一章 天文十八年 春/第二章 天文十八年 晩春/第三章 天文十八年 夏/第四章 天文十八年 晩秋/第五章 天文十九年 早春/最終章 天文十九年 夏