風樹の剣 日向景一郎シリーズ1
(ふうじゅのけん ひなたけいいちろうしりーず1)
(きたかたけんぞう)
[剣豪]
★★★★
♪初めて北方さんの作品を読む。ハードボイルド作家と剣豪小説はピッタリあう。解説のムルハーンさんと同感で、しばらく、追いかけてみたいと思わせる出来。
ヘミングウェイを彷彿させる、畳み掛けるような単文の連ね。
叫んだ。白い光。匕首とはまるで違う音。全身が硬直した。上段に構えられた。見えるのは、刀だけだ。息を吸おうとしても吸えず、手も動かなかった。(p.27より)
物語●「父を斬れ。斬らねばおまえの生きる場所は、この世にない」――。
謎めいた祖父日向将監の遺言を胸に、景一郎(現代小説のヒーローのような名前だ)は、遺品の二尺六寸の名刀・来国行を腰に果てしなき旅に出た。十八歳の青年剣士は行く先々で道場を破り、生肉を喰らい、女を犯し、ついには必殺の剣法を体得する。
日向流という一刀流に、掌打などの体術を織りまぜた剣法が、新鮮だ。