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道誉なり 上・下

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道誉なり 上
道誉なり 上・下
(どうよなり・じょうげ)
北方謙三
(きたかたけんぞう)
[南北朝]
★★★★

「毀すこと―それがばさら」と、南北朝時代の荒波を乗り越えた「ばさら大名」佐々木道誉の半生を描いた歴史巨編。この時代は、悪党がいて、バサラがいてと、なかなか興味深い時代である。

道誉というと、NHK大河ドラマの影響から、陣内孝則さんのイメージ(豊臣秀次など、この人、エキセントリックな配役が多く好きな役者の一人だ)が浮かび、ハマリ役と密かに思っている。この本も陣内さんを思い浮かべながら、読んだのだが、少し違和感を持った。バランス感覚が優れていて優等生というか完璧というか如才がないというか、「ばさら」という外見に騙されてはいけないスケールの大きな人物なのである。

時代の中心にいる足利尊氏が、現代人のように複雑な人物像として描かれているために、物語としてのスッキリ感(カタルシス)がいまいちである。エンターテイメント性を失わずに、尊氏を描くのは難しい。
また、北方さんの作品は、歴史小説っぽくない。年号がはっきり出てこないし、登場人物も官職名などを使わず、姓名のみの表記のせいか、新鮮。この点で逆に読みにくく感じる人もいるのかも。

物語●南北の六波羅探題が京を捨て、北条時益は逃亡の途中で射殺され、北条仲時が一族郎党と持明院統の天子、上皇を連れて近江に逃げ込んでいた…。佐々木道誉は、配下の悪党を使って、六波羅の一行を止めようとした…。

目次■第一章 激流/第二章 京より遠く/第三章 いかなる旗のもとに/第四章 征夷大将軍/第五章 猿の皮(以上上巻)、第六章 花一揆/第七章 橋勧進/第八章 騒擾やまず/第九章 無窮/第十章 尊氏は死なず/解説 縄田一男(以上下巻)

カバー:西のぼる
解説:縄田一男
時代:元弘三年(1333)
場所:京、近江ほか
(中公文庫・上629円、下590円・99/02/18第1刷・上356P、下324P)
購入日:99/02/21
読破日:99/03/10

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