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戊辰算学戦記

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戊辰算学戦記
戊辰算学戦記
(ぼしんさんがくせんき)
金重明
(きむちゅんみょん)
[幕末]
★★★★☆☆

『算学武芸帳』(朝日新聞社刊)で第八回朝日新人文学賞受賞作家による、算学もの第2弾。

算学のもつ静的な面白さと、戊辰戦争の動的なダイナミズムが融合された会心作。主人公の幕軍新鋒隊隊長・結城勘兵衛は、西洋数学を学んだという設定で、進軍先の地元和算家の智香、その孫娘・はるとの交流がすがすがしい。

故郷を舞台にした戦争ながら、あまり語られることがなく、よくわからなかった戊辰戦争が躍動感あふれる筆致で描かれていて興味深かった。司馬遼太郎さんの『峠』も、再読してみたくなった。

物語●江戸に逃げ帰った徳川慶喜が、恭順の意を込めて上野寛永寺にこもったのを機に、歩兵差図役頭取・結城勘兵衛は、江戸脱走を決意し、数学を学んだ恩師ジャック・ピノーと最後のチェスを楽しんだ。
江戸を脱走した旧幕府洋式歩兵隊は、新鋒隊(しんぽうたい)と称し、北陸道から会津に向かう西軍を阻止せんと、信濃川西岸に駐屯した。演習や戦いの合間をぬって、勘兵衛は、地元民と算学を通して交流したり、ラグランジュの方程式(『羅翁方程論攷(らおうほうていろんこう)』の世界に沈潜していった…。

目次■第一章 新鋒隊/第二章 羅翁方程論攷/第三章 エガリテ/第四章 土埋峠/第五章 榎峠/第六章 落城/第七章 今町/第八章 八丁沖/終章

装画:「戊辰の役 白河口戦闘図」(財団法人・斎藤報恩会蔵)
装幀:菊地信義
時代:慶応四年二月
場所:小千谷、長岡、栃尾、見附・今町ほか
(朝日新聞社・1,600円・99/07/01第1刷・253P)
購入日:99/06/15
読破日:99/06/27

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