[amazon_image id=”4331058611″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]桂の花―幕末純愛伝[/amazon_image]
桂の花 幕末純愛伝>
(かつらのはな)
(かのあつし)
[幕末]
★★★★
♪『鮫』や『沖田総司・暗殺剣』などで、登場する桂小五郎と幾松。いままでとは別の側から見た二人にスポットを当てていて興味深い。
逃げる桂小五郎、幾夜も待ち続ける芸妓・幾松、幾松を蔭で支える男衆・甚助。三人の愛憎関係が見事に描かれている。
桂小五郎というと、幕末時の活躍ぶりに比べて維新後にその影が薄くなった印象がある。その理由の一端がこの作品を読んでわかった気がする。逃げることでのみアイデンティティを感じていた小五郎が、逃げる必然性をなくした途端、精彩を欠いてしまった、といったところだろうか。
坂本龍馬(北辰一刀流)もそうだが、桂小五郎も神道無念流の名剣士にも関わらず、人を斬ることを避けつづけてきたところが、人間として興味深い。
物語●祇園祭の祭囃子が鳴り渡る中、三本木の芸妓・幾松は、八坂神社に無言詣りをしていた。たとえ打たれても、いったん始めた無言の行はつづけねばならない詣りの最中に、二人の酔漢に絡まれた幾松を、長身のハンサム侍が石つぶてを投げて助けた。――このお人だ! わたしが待っていたのは……。幾松はとりのぼせ、生娘のように身がすくみ、動きがとれない。しかも無言詣りの半ばで声を出して礼が言えない。十日後、無言詣りの霊験は現れ、幾松は〈待人〉にまた出会えた。それは、対馬藩の大島友之允が長州藩留守居役の乃美織江と桂小五郎を招いての宴席だった…。
目次■一章 祇園祭/二章 嵯峨の秋/三章 勤王芸者/四章 女密偵/五章 春嵐/六章 池田屋襲撃/七章 禁門の変/八章 脱出/九章 高杉挙兵/終章 再会/あとがき