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遁げろ家康 上・下

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遁げろ家康 上

遁げろ家康 上・下

(にげろいえやす・じょうげ)

池宮彰一郎

(いけみやしょういちろう)
[戦国]
★★★★☆

『島津奔る』(新潮社)で新しい家康像を創出した池宮さん。今回は家康に焦点を当てる。今まで家康ときくと、道徳的で偉人臭さが鼻について苦手だった(隆慶一郎さんの家康は別として)が、池宮さんの家康には、親近感が持てて感情移入ができる。

徳川家臣たちの三河人気質と、家康の人質根性の対比が面白い。とくに、謀臣本多正信に比べて、今まで描かれることが少なかった石川数正、酒井忠次、大久保忠世、榊原康政、本多平八郎忠勝らにもスポットが当たっているのがいい。

物語●永禄三年、織田信長が田楽狭間で、上洛を目指した今川義元の本隊に襲いかかっていたとき、松平元康(後の徳川家康)は、義元の命により、手勢を率いて、織田方の丸根砦を攻略し、前線の大高城で織田方の逆襲に備えていた…。東海の雄・今川義元が降って湧いたような突然の大災厄に見舞われたことで、元康の運命は大きな転換期を迎えることになった…。

目次■天機転回/跼天蹐地/国歩艱難/意、自ら通ぜず/甲州崩潰/轍鮒の急(以上上巻)|空国の躄音/鶏口牛後/爾為爾我為我/天造草昧/幕天席地/孔丘盗跖倶塵埃(以上下巻)

装画:徳川家康三方ヶ原戦役画像(徳川美術館所蔵)
装幀:菊地信義
時代:永禄三年(1560)
場所:田楽狭間、大高城、池鯉鮒、岡崎城、浜松城、三方ヶ原台地ほか
(朝日新聞社・各1,500円・99/11/05第1刷・上259P、下268P)
購入日:99/11/02
読破日:00/01/02

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