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始祖鳥記

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始祖鳥記始祖鳥記
(しそちょうき)
飯嶋和一
(いいじまかずいち)
[伝奇]
★★★★☆☆

寡作ながら、良質を作品を送り出している飯嶋さんの新作。おなじみのミルキィ・イソベさんのファンタスティックなカバーは、まるでレオナルド・ダ・ヴィンチといったところか。お話も江戸時代の“鳥になろうとした”畸人・備前屋幸吉の物語である。

幸吉のほかにも、今までの作品の主人公と相通じる、既成の権威に屈しない気骨のある人物たちが登場する。一人は、下総・行徳の地回り塩問屋巴屋伊兵衛であり、もう一人は幸吉の幼馴染でもある船主船頭の福部屋源太郎だ。この二人を中心に、もう一つの戦いも感動的だ。

京極夏彦さんの百鬼夜行の画でおなじみの鳥山石燕が、チョイ役で出てくるのも興味深かった。

物語●天明五年(1785)六月、備前岡山で、総勢60名にも及ぶ捕り方による、大捕り物があった。その頃、諸国の大飢饉や度重なる天変地異に、民の不安や不満として、失政が続く藩をあざ笑うかのように、「イツマデ、イツマデ」と鳴く鵺騒ぎが起こっていた。本当に羽を着け、空を飛ぶことを考えていた城下屈指の表具師・幸吉は、その鵺騒ぎの張本人と目され、役人に捕らえられ牢に入れられることになった…。

目次■なし

装丁:ミルキィ・イソベ
時代:宝暦十一年(1761年)
場所:備前岡山、備前児島、下総行徳、大坂安治川河口、遠州灘、浦賀、駿河府中ほか
(小学館・1,700円・00/02/20第1刷・397P)
購入日:00/02/03
読破日:00/02/25

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