窓際同心 定中役捕物帖
(まどぎわどうしん じょうなかやくとりものちょう)
(ほんだりゅういち)
[捕物]
★★★★☆
♪「大目付光三郎 殿様召捕り候」シリーズで注目の、誉田龍一さんの新シリーズです。耳慣れない言葉ですが、定中役(じょうなかやく)同心とは、臨時に起きた事件等に対応し、出役なども行う窓際の職務です。
定中役同心が登場する時代小説を読んだ記憶がありませんでしたが、実在する町奉行所の同心職で、定員は二名だそうです。
南町奉行所定町廻り同心、一ノ瀬金吾は捕物の際の不手際で、年番与力より定中役勤務を命じられる。窓際への異動にくさる金吾。詰所には先の捕物で助けてくれた神賀銀十郎がいた。金吾は前任の定中役がある事件を追って謎の死を遂げていたことを知る……。
物語では、エリートコースで花形の定町廻り同心と窓際の定中役同心が対比され、奉行所内のヒエラルキーが見られます。手柄を上げて定町廻り同心への復職を狙う金吾が、無口だが切れ者で、頻発する火付け事件を調べる銀十郎と衝突しながらも協力し合って、事件の核心に迫っていきます。
窓際の二人が事件を解決し、
「○○○○○、捕縛いたす」
決め台詞も痛快な捕物帖の誕生です。
火盗改に対抗意識をもつ新奉行の登場が物語に興趣を加えます。
目次■なし