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江戸の精霊流し 御宿かわせみ三十一

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江戸の精霊流し 御宿かわせみ三十一

江戸の精霊流し 御宿かわせみ三十一

(えどのしょうりょうながし・おんやどかわせみ31)

平岩弓枝
(ひらいわゆみえ)
[捕物]
★★★★

「御宿かわせみ」シリーズの第31巻。文庫の最新作。単行本のほうは、江戸最後の作品『浮かれ黄蝶』がリリースされたところ。かわせみを読んでいると、江戸の四季が抒情的に描かれていて、現在の東京の喧騒を忘れて、しばし和める時間がもてる。今回の巻では、お盆の精霊流しのように、はかなくせつない女性を描く表題作が見事。「北前船から来た男」もこのシリーズらしい結末のつけ方で印象に残る話の一つである。

さて、「野老沢」と書いて「ところざわ」と読み、今の「所沢」のことだとわかった。その名の由来は、在原業平がこの地に差し掛かり、「野老(ところ)」という山芋が群生している沢を見ながら「この地は野老の沢か?」と話したことを土地の人がこれを聞いて土地の名を野老沢(ところさわ)と呼ぶようになったということだ。幕末までは「野老沢」と表記されていたという。

この秋からは、「御宿かわせみ」の明治編が始まるという。楽しみだ。

ブログ◆
2006-05-08 「かわせみ」文庫新作と野老沢

物語●「夜鷹そばや五郎八」夜鷹蕎麦売りの老人五郎八が柳原の堤の草むらで殺されているのが見つかった……。「野老沢の肝っ玉おっ母あ」かわせみの女中お石の姉おてるがお石に会いにきた……。「昼顔の咲く家」麻生宗太郎は、清国の酒を入手したので、東吾と二人で、神林麻太郎や畝源太郎、花世らが入り浸り世話になっている高山仙蔵のもとを訪ねた……。「江戸の精霊流し」かわせみで新しくやとった女中のおつまは二十五歳。奉公人の周旋業者の紹介だったが、すれたところがなく、無口だが気が利き、勤めぶりも陰日なたなかった……。「亥の子まつり」十夜法要に出かけた老女が寺で急に亡くなった。義理の息子に疑いがかけられるが……。「北前船から来た男」東吾は、麻生麻太郎と畝源太郎の二人の子どもたちを舟釣りに誘う出だすが、その舟の船頭で、北前船に乗っていた卯之吉と知り合う…。「猫絵師勝太郎」江戸で虎猫の七福神の絵が流行っていた。築地の茶道の師匠の家で催された茶会の帰り、るいはくくり袴を着た男に跡をつけられる……。「梨の花の咲く頃」もと、かわせみに奉公していたお梅が嫁ぎ先の行徳から遊びに来た。従妹の許婚の男が植木屋で奉公していたが消息がわからなくなったという……。

目次■夜鷹そばや五郎八|野老沢の肝っ玉おっ母あ|昼顔の咲く家|江戸の精霊流し|亥の子まつり|北前船から来た男|猫絵師勝太郎|梨の花の咲く頃

カバー:蓬田やすひろ

時代:幕末、明記されず
場所:大川端、向柳原、吉田町、神田佐久間町、本所南割下水、浅草、野老沢、高橋、出雲町、西本願寺、佃島、浅草、柳原堤、上野摩利支天、佐賀町、深川黒船町、三十三間堂、柳原同朋町、ほか

(文春文庫・476円・2006/04/10第1刷・287P)
購入日:2006/05/05
読破日:2006/05/07

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