佐助の牡丹 御宿かわせみ
(さすけのぼたん・おんやどかわせみ)
平岩弓枝
(ひらいわゆみえ)
[捕物]
★★★★☆
♪「御宿かわせみ」の最新刊! 『「御宿かわせみ」読本』も文庫最新刊の「春の高瀬舟」、「はやぶさ新八御用旅 東海道五十三次」と同時に刊行され、「かわせみ」ファンとしては、この上なく幸福な気分が味わえる。
今回も相変わらず(もちろん、いい意味である)江戸の四季が満喫でき、おなじみの「かわせみ」の面々と再会でき、時にはほろりとさせられる。ファンには堪らないひとときである。『水売り文三』では、不覚にも涙してしまった。
『「御宿かわせみ」読本』(文藝春秋)も出ていて、共同のキャンペーンをやっているので、ファンは要チェック。
物語●「江戸の植木市」東吾はお吉と千春を連れて、薬研堀の植木市に出かけて、水仙の鉢を買う病身の商家の男を見かけた…。「梅屋の兄弟」るいの父の墓参りに出かけた東吾とるいは、墓地で喧嘩する二人の男を見かけた…。「佐助の牡丹」深川富岡八幡宮で、牡丹の品評会があり、一位に選ばれた鉢に疑惑が生じた…。「江戸の蚊帳売り」永代橋で東吾とお吉は、声の悪い蚊帳売りとすれ違った…。「三日月紋の印籠」かわせみに畝源三郎の妻・お千絵の紹介で、母子が泊まった…。「水売り文三」東吾は、御開帳で賑わう回向院門前で、若い水売りが物乞いの老女に水を飲ませているところを見かけた…。「あちゃという娘」兄・通之進の代わりに、法要に出席した東吾は、麻生宗太郎が診ているうつ病の隠居を見かける…。「冬の桜」宗太郎の弟・宗三郎が、他出先で病人に遭い、助けを求めてきて、東吾と宗太郎は四谷に出かけた…。
目次■江戸の植木市|梅屋の兄弟|佐助の牡丹|江戸の蚊帳売り|三日月紋の印籠|水売り文三|あちゃという娘|冬の桜
時代:元治元年正月~十月(勝海舟が海軍奉行を辞めた年)
場所:薬研堀の不動尊、多田薬師、門前仲町、深川冬木町、浅草福富町、室町、白山下、深川富岡八幡宮、小村井村、永代橋、大川端、備前橋、回向院ほか
(文藝春秋・1,095円・01/03/20第1刷・280P)
購入日:01/03/17
読破日:01/04/01