[amazon_image id=”4094035869″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]夢狂いに候―信長シリーズ〈2〉 (小学館文庫―時代・歴史傑作シリーズ)[/amazon_image]
夢狂いに候
(ゆめぐるいにそうろう)
(はやまのぶき)
[伝奇]
★★★★
♪明智光秀がなぞ信長を殺したのか、の謎に迫る信長もの。惜しまれつつ絶版となった富士見時代小説文庫収録作品(1994刊)が装いも新たに登場。
羽山さんは、いろいろな叙述パターンで物語を作られているのが凄い。今回は、安土にあるナバラ会の修道院(カーザ)で、通辞と下男を務める日系人の又次郎が語り役となり、明智光秀がなぜ信長を殺したのかという謎を明らかにして行く。
この又次郎は、フランシスコ・ザビエルに従っていたヤジロウの息子という設定になっていて、ディスチプリナと呼ばれる、修行用の紐の鞭を武器に使うのが興味深かった。
重要な役回りで、出雲の阿国も登場するが、いっしょに現れる糸縒伝介(いとよりでんすけ)と呼ばれる若者も印象的だった。
物語●1619年(元和五年)六月、マカオのメレンデス神父は、その男と出会った。高齢で死相が表われた、泥と垢にまみれた日本人然とした男は、ポルトガルの言葉で、告悔をしたいと申し出て、途切れ途切れに語り始めた。
男の話は、四十年近く前の織田信長の「お馬揃え」から始まった…。
目次■序章/第一章 夢のうちなる夢なれや/第二章 夢の世をうつつ顔して/第三章 よしなの人の心や/第四章 一期は夢よ、ただ狂へ/第五章 思ひ覚せば夢候よ/終章/あとがき/解説 細谷正充