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邪しき者 上 柳生秘剣・中 血涙剣・下 生々流転剣

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邪しき者 上 柳生秘剣邪しき者 上 柳生秘剣・中 血涙剣・下 生々流転剣
(あしきもの・じょう・やぎゅうひけん、ちゅう・けつるいけん、げ・せいせいるてんけん)
羽山信樹
(はやまのぶき)
[剣豪]
★★★★☆☆

1997年に52歳の若さで肝臓ガンのために、亡くなった羽山信樹さんの代表作の一つを読んだ。羽山さんというと、昔、角川書店の「小説王」という文庫サイズの月刊誌に連載していた『流され者』(実は当時は、時代小説に全然関心がなかったせいで、この雑誌に創刊以来掲載されていたこの作品をちゃんと読んでいないのだ)の作者という印象が強い。縄田一男さんの解説によると、『邪しき者』は、「~者」四部作の第2弾(もっともあとの2つは未完)とのこと。

読み始めてすぐにうならされた。柳生一族や宮本武蔵が登場し、剣豪小説かと思っていたら、隆慶一郎さんの『花と火の帝』や五味康祐さんの『柳生武芸帳』に匹敵する伝奇小説でもあった。そのスケールの大きさや、主人公のかっこよさ、敵役の凄み、剣戟シーンの迫力、どれをとっても一級のもので賞賛に値する作品。

物語●名古屋城三之丸にある、尾張家兵法指南役・柳生兵庫助の屋敷に、一人の美男の浪人が現れた。後醍醐天皇の血をひく南朝の皇胤・新珠尊之助である。その当時、尾張藩は家康の第九子・義直が治めていたが、時の将軍家光は、この実力者の叔父に不満を抱いていた…。

目次■序 陰と影/第一章 但馬守/第二章 春の嵐/第三章 義直/第四章 紅葉/第五章 皇胤/第六章 虎穴(以上上巻)|第一章 日本甲螺|第二章 鬼揃|第三章 紅葉狩|第四章 家光上洛|第五章 紅蓮|第六章 志世道にあり(以上中巻)|第一章 再会|第二章 秩父報国|第三章 土蜘蛛|第四章 北闕の天|第五章 訣別|解説 縄田一男(以上下巻)

カバー装画:智内兄助
カバーデザイン:内田博
解説:縄田一男
時代:寛永十年(1633年)
場所:江戸城、尾張大国霊神社ほか
(小学館文庫・上638、中600、下600円・99/08/01第1刷・上347P、中289P、下302P)
購入日:99/07/10
読破日:00/02/10

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