戦国自衛隊
(せんごくじえいたい)
半村良
(はんむらりょう)
[時代SF]
★★★☆☆
♪架空戦記ものは守備範囲ではなかったが、昔の角川映画が懐かしくて、装いも新たに刊行されたので、つい読み進めてしまう。それにしても、原作ってこんなに薄かったんだ。
やっぱりアイデアが卓抜。現実には武器に囲まれながらも、専守防衛ということで何もできずに、演習と災害救助ぐらいしか出番がない自衛隊が、戦いこそすべての戦国時代にタイムスリップしてしまうわけだから、面白くならないはずがない。映画では戦闘シーンのダイナミズムに視点が置かれたようだが、原作は主人公の伊庭三尉はじめ、人間としての自衛隊員が描かれている。また、物語の中で繰り広げられる架空の歴史と現実の歴史のズレが面白い。
物語●境川は、新潟県と富山県の県境で、かつては越後と越中の国境だった。その地に、大規模な演習のために、第十二師団、第一師団、海上自衛隊が集結したが、そのうちの三十名余りが、トラックや装甲車、哨戒艇、物資、弾薬、食糧とともに、戦国時代にタイムスリップしてしまった…。
目次■第一章/第二章/第三章/第四章/第五章/第六章/むすび/解説 笹川吉晴