[amazon_image id=”4331610233″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]宵しぐれ―隅田川御用帳 (廣済堂文庫)[/amazon_image]
宵しぐれ 隅田川御用帳
(よいしぐれ・すみだがわごようちょう)
(ふじわらひさこ)
[市井]
★★★★
♪『御宿かわせみ』と縁切寺東慶寺ものを合体させたようなたのしみがあり面白かった、『雁の宿』『花の闇』『螢籠』に続く「隅田川御用帳」シリーズ第4作目! 最近、刊行のペースが速くなってうれしいところ。
女流作家らしい、キメ細やかな視線で、切ない男女の愛憎劇を見事に描く『隅田川御用帳』シリーズも早いもので、もう4作目。作者の筆もますます好調である。
とくなさぬ仲の義理の母と娘の愛憎を描く「ちぎれ雲」が素晴らしい。
塙十四郎と橘屋のお登勢の仲はなかなか進展しないが、十四郎の幼なじみで親友の、慶光寺に常駐する寺役人近藤金吾の嫁が決まり、うれしい一編。
物語●「闇燃ゆる」橘屋の小僧万吉は、塙十四郎を案内して、回向院の境内にやってきた。そこで、万吉が見たかったのは、柴犬のごん太の芸だった…。「釣忍」十四郎は、楽翁の頼みで、財布を届けてくれた居酒屋の酌婦お蓮の事情を探ることになった…。「ちぎれ雲」紅や白粉を商っている紅屋の後妻お新が、先妻の亡霊に毎夜悩まされていて離縁したいと、橘屋に駆け込んできた…。「夏の霧」近藤金吾は、飲み屋で狼藉を働き騒いでいた旗本の子弟たちの集団に和泉橋で襲われたときに、若衆姿の秋月千草に助けられた…。
目次■第一話 闇燃ゆる|第二話 釣忍|第三話 ちぎれ雲|第四話 夏の霧