[amazon_image id=”4101247161″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]刺客―用心棒日月抄 (新潮文庫)[/amazon_image]
刺客 用心棒日月抄
(しかく・ようじんぼうじつげつしょう)
(ふじさわしゅうへい)
[武家]
★★★★
[再読]
♪正月を実家で迎えるべく帰省した際に、入手した一冊。年末年始というと、なぜか藤沢さんの本が無性に読みたくなる。
シリーズ第3作目。今回は、とくに嗅足組の女頭領・佐知(さち)と又八郎の妻・由亀(ゆき)の対比が見事に描かれている。抑制が利いたなかで、又八郎とのきめこまかな情愛が、少しくたびれたサラリーマンには快い。ともに「幸」を連想させる名前になっているが、物語中で、それぞれの形で幸せを掴んでくれるのがうれしい。
常盤新平さんの解説で、チラッと触れているが、十年後に又八郎と佐知は再会することになる。その作品が完結作『凶刃』である。
物語●青江又八郎は、かつて執政を務めた元家老・谷口権七郎から相談を持ちかけられた。藩士の非違をさぐる陰の集団「嗅足組(かぎあしぐみ)」を抹殺するため、お家乗っ取りを狙う、藩主の伯父・寿庵保方(じゅあんやすかた)の策謀により、五人の刺客が江戸へ放たれたという。谷口は、又八郎に三度脱藩し、嗅足組の女頭領・佐知を助けるように命じる…。
目次■陰の頭領/再会/番場町別宅/襲撃/梅雨の音/隠れ蓑/薄暮の決闘/黒幕の死/解説 常盤新平