天保悪党伝
(てんぽうあくとうでん)
[ピカレスク]
★★☆☆☆
♪半村良さんの『講談・碑夜十郎』を読んでから気になっていた、天保六花撰を描いた藤沢作品。1年以上も前に買ってほかっておいた本が、掃除をしていて見つかったので読むことにした。
ちなみに天保六花撰とは、直侍・片岡直次郎、金子市・金子市之丞、森田屋清蔵、暗闇の丑松、三十歳、河内山宗俊の6人。本書では、一人1章ずつスポットを当てて描いていく。悪党を描いているせいか、全体のトーンが暗く、弾むものがない。
物語●「蚊喰鳥」直侍と三十歳の足抜き。「闇のつぶて」金子市の無頼の生活。「赤い狐」父の敵討ちのために抜け荷を仕掛ける森田屋。「泣き虫小僧」料理屋を手伝う丑松はそこの女将に気に入られているが・・・。「三十歳たそがれ」三十歳は、森田屋、金子市と親しい男たちが去っていき、行く末が不安になる。「悪党の秋」河内山は、水戸藩を影富をネタに強請るが・・・。