[amazon_image id=”4167192349″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]日暮れ竹河岸 (文春文庫)[/amazon_image]
日暮れ竹河岸
(ひぐれたけがし)
(ふじさわしゅうへい)
[市井]
★★★★☆
♪藤沢さんが亡くなったことを認めたくなくて、今まで敬遠していた最晩年の名作。文庫化を期についに入手。蓬田さんの装画が胸に迫る。
江戸の十二ヵ月の中で、女を主人公に鮮やかに一枚の絵のように切りとって描いた十二の掌編「江戸おんな絵姿十二景」と、広重の「名所江戸百景」を舞台にした七つの短篇。
それぞれの話が、極限までに無駄なものを削ぎ落としてあり、藤沢時代小説の至芸を感じる。読む方も心して読むべき作品。(実はちょっと歯が立たず、人間的な熟成を待って、リベンジしたい一冊)
物語●おしづは、政右衛門が持ってきた縁談を、他人事のように聞いていた。子どもが二人もいる男やもめが、自分を嫁に欲しがっているという話だった。母と相談して、いずれ返事すると言って、政右衛門を外に送り出したとき、外は雪で真っ白になっていた…。(「夜の雪」)
信蔵は、かつて同じ店に奉公していた市兵衛に金を貸してもらえないかと訪ねたが、さんざんお説教を聞かされたあげく、お金は貸さないと言われた。信蔵は商いをしくじり、借りられるところは借りつくして切羽詰って訪ねたのだが、恥をかいただけだった…。(「日暮れ竹河岸」)
目次■江戸おんな絵姿十二景(夜の雪/うぐいす/おぼろ月/つばめ/梅雨の傘/朝顔/晩夏の光/十三夜/明烏/枯野/年の市/三日の暮色)|広重「名所江戸百景」(日暮れ竹河岸/飛鳥山/雪の比丘尼橋/大はし夕立ち少女/猿若町月あかり/桐畑に雨のふる日/品川洲崎の男)|あとがき/解説・杉本章子