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奥義・殺人剣

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奥義・殺人剣

(おうぎ・さつじんけん)

えとう乱星

(えとうらんせい)
[剣豪]
★★★☆☆☆

ご贔屓にしているえとうさんの最新文庫、カバーデザインが辰巳四郎さんというのも嬉しい。赤穂浪士討ち入り後の時代が舞台の連作時代小説。前の話の登場人物が次の話で中心人物になり、話を引き継ぐ連作形式の円環小説。さまざまな殺人剣の遣い手たちが勝ち抜き方式で対決し、男女や親子、兄弟、師弟などの人間関係を絡ませながら、その奥義を明らかにしていく構成になっている。しかも赤穂浪士の討ち入りも背景に絡んでいて興趣がつきない。
物語の中心になる秘剣、とくに地虫の邪剣ぶりが面白い。

物語●槍奉行配下の槍方与力の工藤左内と上条一郎太は、下城の帰りに、上野不忍池近くの火除け地で、一人の侍を五人の侍たちが取り囲んでいるところに出くわした。囲まれている侍は、左内と剣の道場で同門だった松橋源太夫だった。松橋は、旧赤穂藩士で、蛇の道という秘剣で、五人の侍たちから金を巻き上げた後、左内と一郎太と茶屋に入り、酒を酌み交わした…。

目次■蛇の道対波頭斬り|波頭斬り対地虫|地虫対落葉剣対無拍子|無拍子対無拍子|無拍子対据え物斬り|据え物斬り対胡蝶|胡蝶対合掌打ち|合掌打ち対移し絵|解説 宗肖之介

カバーデザイン:辰巳四郎
解説:宗肖之介
時代:赤穂浪士討ち入りの三年後、宝永二年頃(1705)か
場所:上野不忍池、千住、小塚原、品川、肥後熊本城ほか
(光文社時代小説文庫・590円・00/10/20第1刷・362P)
購入日:00/10/13
読破日:00/10/14

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