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風の山左

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風の山左風の山左
(かぜのさんざ)
えとう乱星
(えとうらんせい)
[伝奇]
★★★★☆

山田風太郎さんの『甲賀忍法帖』(講談社文庫)のとんでもない面白さとそれに出会えた感動がよみがえる作品。これはまさにえとう版忍法帖である。

伊賀忍者がもとになる一橋臥煙衆と、風魔忍者がルーツの松平定信(こういう伝奇ものや政治抗争ものでは得がたいキャラクターの一人だ)配下の風の者、そして両者の対立に深く関与する、謎の忍者集団・忍部衆。この設定と、風の者の表の稼業を飛脚にした、作者の着眼点が、この伝奇小説を面白くしている。

物語●東海道浜松宿の近くで、三度飛脚の山左が、〝猿の信兵衛〟と名乗る覆面の男に襲われ、預かっていた書状を奪われそうになる…。
京では、光格天皇が父に太上天皇の称号を与えたいと御言い出しになられたことから、朝廷は揺れ、老中松平定信はこれに強く反対した。同じころ、江戸でも同様の問題が起こった。現将軍・家斉の父、一橋治済を、大御所と呼ばせて江戸城西の丸へ迎え入れようという案が持ち出されたのだ…。

目次■風の者|山左登場|風のお婆|山左と霞と|傀儡|風の礫|三つ巴|風よ何処へ|解説 宗肖之介

カバーイラスト:毛利彰
カバーデザイン:今福健司
解説:宗肖之介
時代:天明八年(1788)
場所:浜松、京都御所、日本橋、飛騨ほか
(徳間文庫・552円・99/07/15第1刷・347P)
購入日:99/07/06
読破日:99/07/08

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