[amazon_image id=”4396328664″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]歳三奔る―新選組最後の戦い (祥伝社文庫)[/amazon_image]
歳三奔る 新選組最後の戦い
(としぞうはしる・しんせんぐみさいごのたたかい)
(えみやたかゆき)
[新選組]
★★★★
♪作者は、1989年に『経清記』で第13回歴史文学賞を受賞した、新進作家。山梨生まれの作者が、新選組の甲府進軍を中心に描いた作品。 新選組の土方歳三というと、司馬さんの『燃えよ剣』がデーンと前に立ち塞がり、遺された写真の端正なマスクと相俟って、作家泣かせの歴史人物である。
作者の江宮さんは、新選組が落ち目になりかけた鳥羽伏見の戦い直前からストーリーを始め、甲府の戦いをメインに据えたことで、オリジナリティある作品に仕上げている。
以前から、甲陽鎮撫隊のちぐはぐさが気になっていたが、この作品で納得できる説明がなされていた。
『経清記』もぜひ読んでみたくなった。
物語●土佐海援隊の陸奥陽之助や岩村精一郎ら十六人が、油小路の天満屋に投宿していた紀州藩の家老代理・三浦休太郎を急襲した。坂本龍馬暗殺の下手人と見て、その仇を討つためであった。新選組は、そうした動きを察知して、三浦を警護していた。事件の二日後。土方歳三は、身も心も疲れきり、悪い夢を見た。
それは新選組の運命を大きく変えていく前兆だった。「王政復古」をうたった薩摩藩兵が力攻めで御所に押し入り、京都に駐屯している幕府軍を後退させ、新選組も維新の嵐の中に投げ出されるのだった…。
目次■第一章 王政復古/第二章 甲府城/第三章 江戸警護/第四章 偽勅使事件/第五章 甲陽鎮撫隊/第六章 鎮撫隊出陣/第七章 柏尾の戦い/あとがき/解説 菊池仁