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御書物同心日記 〈虫姫〉

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御書物同心日記 〈虫姫〉御書物同心日記 〈虫姫〉
(おしょもつどうしんにっき・むしひめ)
出久根達郎
(でくねたつろう)
[ユーモア]
★★★★☆☆

紅葉山御文庫に勤める御書物同心東雲丈太郎が活躍するシリーズ第3弾。主人公の古本マニアぶりがたのしい。

全編にゆとりのあるユーモアが漂い、何ともいえない読み味のよさをもっている。紅葉山御文庫に勤める御書物同心・東雲丈太郎の本や本を取り巻く人たちに寄せる愛情が温かくて、いい気持ちにさせてくれる。

一話完結で、江戸の本の事情や古書界の習慣を紹介してくれていて興味深い。本好きにはたまらないシリーズである。

古本屋というか古書店の商売のやり方について、いまひとつピンと来なかった。『御書物同心日記 (虫姫)』を読んでいたら、江戸の古書の世界が詳しく描かれていて断然興味がわいてきた。ガーデニングの実用本に美本が少ないとか、探本と糴取師(せどりし。他の古本屋を回って安い本を抜き買いし、それを同業に納め、口銭で食っている古本屋の便利屋で仕入れ役でもある)のメカニズムとか、面白い。

今回は、丈太郎の恋についても描かれているので、注目だ。

物語●紅葉山御文庫に勤める御書物同心東雲丈太郎は、無類の古本好き。宿直を終え、朝四つ半(午前十一時)に下城すると、あわただしく着替えと早い昼をすませ、懇意にしている日本橋の古本屋、小泉喜助の店に向かった。丈太郎は、表具師の修復作業を監視するため、御書物会所で八日間ほど、本の顔を見ておらず、禁断症状からであった。ちょうど店では主人の喜助が、長男で十七歳の音平と番頭の忠造をしかっていた。二人とも吉原からの朝帰りだった…。

目次■第一話 一髪|第二話 探書|第三話 曲竹|第四話 不浄|第五話 虫姫|第六話 鷽替|第七話 洲崎|退屈至極の日日 文庫版あとがき

カバー装画・デザイン:南伸坊
時代:天保四年(1833)ごろか
場所:江戸城紅葉山御文庫、日本橋本町三丁目、京橋、門前仲町、富島町二丁目、平河御門脇の不浄門、砂村新田、亀戸天神、洲崎ほか
(講談社文庫・533円・05/06/15第1刷・312P)
購入日:05/06/21
読破日:05/06/22

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