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おんな飛脚人

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おんな飛脚人おんな飛脚人
(おんなひきゃくにん)
出久根達郎
(でくねたつろう)
[市井]
★★★★☆

出久根さんの章のタイトルの付け方が面白い。また、主人公が働く店の名が、十七屋(陰暦の十七夜を立ち待ち月という。たちまち着くのシャレで飛脚屋のことになる)でなく、十六屋(十六夜はいざよい)で、もとは居酒屋だったというオチがついている。

この作品は、出久根さんの長編の第一作ということらしいが、連作の形式で肩が凝らない楽しく爽やかな作品に仕上がっている。飛脚の世界が舞台ということで、江戸の町を走っているような感じがする。

装画と挿絵の中さんの絵がまた、『剣客商売』のファンにはたまらないところだ。挿絵が多い本というのは、とても得した感じがする。

物語●芳町の人宿「丁字屋」。仕事を求めて背が高く精悍な面構えの男、清太郎と男のなりをした若い女・まどかが、瀬戸物町の飛脚問屋十六屋の飛脚の仕事に応募した。まどかは女ということがわかり、女雇人口入れ所に行くようにいわれる。
やがて、定飛脚の十六屋ののれんをまどかがくぐる。下女として口入れ屋で紹介されたのだ。その十六屋は、主とその母親が病の床につき、飛脚が相次いで辞め、仕事が減り、大ピンチだった…。

目次■その一 梅雨の晴れ間に絹ごし一丁/その二 孝行の良薬は命取り/その三 本降りに鮨の投げ売り/その四 鰯の頭も竹の花/その五 水売りに母の懺悔/その六 秋茄子とその手は食わぬ/その七 天下祭りに捕物に鯉/その八 遺言の中身は意外/その九 逃げるが勝ちで験直し/その十 鸚鵡が飛んで恋の発覚/その十一 顔に紅葉の海晏寺/その十二 来年の暦は昔を語らぬ/その十三 かぐや姫にも除夜の鐘

装画・挿絵:中一弥
装丁:熊谷博人
時代:嘉永六年六月
舞台:芳町、江戸瀬戸物町、田町四丁目、上野不忍池、尾張町一丁目ほか。
(講談社・1600円・98/2/5第1刷・283P)
購入日:98/2/7
読破日:98/2/22

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