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新島八重の維新

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新島八重の維新
新島八重の維新
(にいじまやえのいしん)
安藤優一郎
(あんどうゆういちろう)
[読み物]
★★★★☆

2013年NHK大河ドラマは、会津藩士の家に生まれて、激動の幕末維新を駆け抜けた山本八重、同志社大学を創設者の新島襄の妻として知られる新島八重をヒロインとした、「八重の桜」。綾瀬はるかさんが主演を務め、八重を演じる。
http://www9.nhk.or.jp/yaenosakura/cast/

本書は2013年放送のNHK大河ドラマ「八重の桜」の入門書として最適な歴史読み物。八重の生涯を資料をもとに綴っている。

この本を読むまでは、山本八重についての知識は皆無に近かった。以前に中村彰彦さんの『修理さま 雪は』に収録された短編「残す月影」で描かれているのを読んだぐらい。

戊辰戦争時には断髪して男装で、会津鶴ヶ城に入城し、最新鋭のスペンサー銃を手に奮戦したことから、後に「幕末のジャンヌ・ダルク」と呼ばれたことが印象に残っていた。

そのイメージと、後に同志社の創設者の新島襄と結婚したということがうまく結びつかなかったが、本書を読んでスッキリとつながった。「ハンサム・ウーマン」であり、「戦争上リノオ転婆娘」の生き様は生涯貫いたように思える。

表紙の写真が晩年のもののため、「幕末のジャンヌ・ダルク」を想起させるような、綾瀬さんのイメージがないのが残念だが…。

本書でチラッと触れられた大山巌夫人の捨松に興味をもった。歴史時代小説のヒロインとして、この人の生涯も波乱万丈そう。

これで、来年の大河ドラマも楽しめそう。中村彰彦さんの会津を舞台にした時代小説ももう少し読んでおきたいところ。

主な登場人物
新島(山本)八重:会津藩砲術指南役山本権八の三女として生まれ、出石藩士川崎尚之助と結婚、離別後、新島襄と結婚する
山本権八:会津藩砲術指南役。八重の父
山本佐久:権八の妻で八重の母
山本覚馬:会津藩軍事取調兼大砲頭取。八重の十七歳違いの兄
山本うら:覚馬の妻
山本みね:覚馬の娘
山本三郎:八重の三歳下の弟
川崎尚之助:出石藩士
松平容保:会津藩九代藩主
松平喜徳:会津藩十代藩主
西郷頼母:会津藩家老
佐川官兵衛:会津藩家老
梶原平馬:会津藩家老
萱野権兵衛:会津藩家老
伊東悌次郎:白虎隊士
山川大蔵:会津藩砲兵隊隊長
高木時尾:会津藩大目付高木小十郎の娘
中野竹子:会津藩士の娘
手代木直右衛門:会津藩士
秋月悌次郎:会津藩士
槇村正直:京都府権大参事
新島襄:上州安中藩の祐筆新島民治の長男
ゴードン:宣教師
ディヴィス:宣教師
スタークウェザー:女性宣教師
徳富蘇峰:襄の教え子
勝海舟
大山捨松:山川大蔵の妹で、第二軍司令官大山巌の後妻

目次■はじめに|第一章 山本八重、会津に生まれる ~幕末のジャンヌ・ダルク誕生 一 会津のお転婆娘(八重生まれる/お針稽古より鉄砲稽古/童子訓を暗誦していた八重) 二 会津藩、京都に向かう(保科正之が残した家訓/政局の舞台として急浮上する京都/藩主松平容保の苦悩/長州藩との戦いを決意する/京都が火の海に)|第二章 最初の結婚と兄山本覚馬 ~会津藩悲劇のはじまり 一 最初の結婚(会津藩の軍制改革/出石藩士川崎尚之助の招聘/八重の最初の結婚) 二 朝敵への転落(財政難に苦しむ会津藩/長州征伐の失敗/大政奉還と守護職解任/鳥羽・伏見の戦いと江戸への敗走)|第三章 戊辰戦争の渦のなかへ ~父と弟の死 一 相次ぐ悲報(弟三郎の死と会津藩士たちの怒り/帰国する会津藩士たち/兄覚馬処刑の噂と徹底抗戦の道/奥羽越列藩同盟の結成) 二 白虎隊の悲劇と新選組の奮闘(江戸城無血開城の真実/新選組、会津に向かう/白河城攻防戦/政府軍、鶴ヶ城下に突入/白虎隊士、飯森山で自決) 三 降伏・開城へ(彼岸獅子を舞って入城を果たす/女性たちの証言/八重、砲撃を指揮する/父の死と追いつめられる会津藩/鶴ヶ城開城)|第四章 故郷を去る ~兄との再会と夫の死 一 会津を去る藩士たち(江戸の消滅/尚之助との別居/会津藩再興と斗南への移住/斗南での苦難の生活) 二 京都に向かう(生きていた兄/東京「遷都」と寂れる京都/京都の文明開化を推進する覚馬/八重、女紅場に勤める) 三 明治維新の混乱(尚之助、非業の死/会津藩士、それぞれの生き方/八重が見た維新の元勲たち)|第五章 新島襄との再婚 ~悪妻伝説の虚実 一 新島襄との結婚と同志社創立(密航者だった新島襄/故国日本への帰国/襄に聖書を学ぶ八重/婚約した八重/キリスト教式結婚式を挙げる) 二 周囲からの反発(夫を呼び捨て/鵺と呼ばれた八重/洋式の家庭生活) 三 夫に先立たれる(同志社大学創立運動と勝海舟/会津人のアイデンティティー/性格の不一致/二人の意地の張り合い/病に倒れた夫/永遠の別れ)|第六章 従軍看護婦への道 ~ハンサム・ウーマン新島八重 一 日清・日露戦争に従軍する(赤十字に入る/広島・大阪で傷病兵の看護にあたる/籠城戦に参加したもう一人の会津女性/鹿鳴館の貴婦人大山捨松の看護活動) 二 会津武士の末裔、京都の土となる(八重の武勇伝/故郷会津と秩父宮ご成婚/京都にて死す)|おわりに/新島(山本)八重関連 年表/参考文献

カバー写真:同志社大学提供
時代:弘化二年(1845)十一月三日
場所:会津、猪苗代、斗南、京都、ほか
(青春出版社・青春新書・781円・2012/06/15第1刷・221P)
入手日:2012/06/04
読破日:2012/06/09

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