彷徨える帝
(さまよえるみかど)
(あべりゅうたろう)
[伝奇]
★★★★☆☆
♪読みごたえのある大作(読破に一週間かかった)。病床の隆慶一郎さんが評価したのもうなずける作品。
時代的には、なじみの薄い「後南北朝時代」だが、皆川博子さんの『妖櫻記』と重なっているので、一緒に読むとスッと時代背景が理解できる。
黒色尉(こくしきじょう)、白色尉(はくしきじょう)、父尉(ちちのじょう)の三つの能面をめぐる南朝方と将軍家側の争奪戦あり、剣の対決あり、伝奇ものの要素もあり、暗号解読もありで、見どころがたくさんある。
物語●小倉宮を奉じ南朝再興に尽力する北畠宗十郎は、後醍醐帝の呪力が込められた三つの能面に隠された、幕府を崩壊させるほどの秘密とは? 将軍義教暗殺(嘉吉の乱)を経て、時代は大きく動いていく…。