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出合茶屋

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出合茶屋出合茶屋
(であいぢゃや)
阿部牧郎
(あべまきお)
[市井]
★★★★☆

元武士で貸本屋を営む町之介の愛と性と商いを描いて好評だった『後家長屋』の続編。やはり購入には気恥ずかしいものがあるが…。

前作『後家長屋』から5年。町之介は商売にも、浪速の町にも慣れ、色事の方もますます快調といったところ。

連作形式で、一話に一つずつ情事が描かれていて、解説の白倉さんによると、江戸時代の艶本をなぞらえて書かれているのではないかということ。なるほど。、それはともかく、テーマの割に、イヤらしくなく、電車の中でも安心して読める。作品の最大の魅力は、文政期の大坂の人情と風俗がビビッドに描かれていること。続編を期待したい作品の一つである。

物語●大坂島之内鰻谷にで貸本屋兼本屋「泰平堂」を営む町之介は、口うるさい老母徳江と一人息子才太郎を抱える32歳の男やもめ。もとは陸奥三戸藩で五十石取りの下級武士であった。大坂・堀江の安井天神崖下の出合茶屋の勝手口で、亭主と世間話をしていた町之介は、割高な離れ座敷の座敷代を値切る夫婦者に出くわした。町之介の顔見知りの高麗橋通りの鏡店の主人と内儀だった。家にいたらタダでできるのに、なんでお茶屋で高い金を使ったのか、町之介は不審をもった…。
町之介は、貸本屋稼業に精を出すかたわら、豪商の後家。旦那替えを頼まれた妾奉公の女、公家に仕える京娘ら女たちとの逢瀬を重ねていく…。

目次■出合茶屋/村から来た娘/旦那替え/蔵の中/隠居の恋/ひたむき/廻し祝い/解説 白倉敬彦

カバー装画:菊地ひと美
カバーデザイン:若月清一郎
解説:白倉敬彦
時代:文政三年(1820)。町之介32歳、前作より5年経過。
場所:大坂・島之内、鰻谷、堀江安井天神崖下、高麗橋通り、南船場、久宝寺通、笠屋町、堀川五条・本圀寺、江戸堀南、難波新地、斎藤町ほか
(講談社文庫・552円・03/12/15第1刷・321P)
購入日:04/02/29
読破日:04/03/09

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