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艶女犬草紙

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艶女犬草紙艶女犬草紙

(あでおんないぬぞうし)

阿部牧郎

(あべまきお)
[市井]
★★★★☆

元武士で貸本屋を営む町之介の愛と性と商いを描いて好評だった『後家長屋』『出合茶屋』の続編。やはり購入には気恥ずかしいものがあるが…。この本を読んでいると、犬がいる生活はいいなあと思ってしまう。町之介は貸本の営業のかたわら、犬の口入屋という新しい仕事もはじめ、物語の中でいろいろな犬が出てくる。紀州犬をはじめ、雑種、柴犬、狆(ちん)、土佐犬、唐犬(とうけん)など。

主人公の町之介をはじめ、登場人物たちの個性が犬との距離感を通じてよく描かれていて面白い。実際に犬を飼ったことがある作者でないと描けないようなシーンが随所に出てくる。大坂を舞台にしていて、大坂人(主人公は陸奥・三戸の人だが)のたくましい商魂や性がのびのびと描かれている。少しエロティックな場面もあるので、ご注意を。

ブログ◆
2006-04-08 犬好き大満足の時代小説
2006-03-31 紀州犬と狆と唐犬
2006-03-30 江戸時代の大坂を描く小説

物語●文政年間の大坂。武士を捨て貸本屋を営む町之介は、犬が縁で下宿(したやど。奉行所に出頭する人の控え所を貸す業者)の若女将リサと知り合う。町之介は、「アラぬきの多助」という犬好きの青年とともに、「犬の口入屋」(ペットビジネス)を始めて評判になるが……。

目次■めぐり会い/下宿/犬商売/狆と唐犬/石田屋/犬さらい/犬吠山/あとがき

カバー装画:菊地ひと美
カバーデザイン:若月清一郎

時代:文政三年(1820)。町之介32歳、前作より5年経過。

(講談社文庫・695円・06/02/15第1刷・469P)
購入日:06/03/18
読破日:06/04/08

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