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2017年時代小説ベスト10 単行本部門

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単行本で刊行された時代小説の「時代小説SHOW」のベスト10を発表します。

対象は、奥付表記が2016年10月1日から2017年9月30日発行の時代小説作品(シリーズ)で、単行本で刊行された作品になります。

順位 タイトル 著者 出版社
1位 守教 上 守教 上・下 帚木蓬生 新潮社
戦国期から幕末の開国まで、イエズス教(キリスト教)の教えを守り抜いた、九州・筑後の小さな村の隠れキリシタン秘史。宣教、禁教、殉教…、布教の目覚ましい拡大を史実を織り交ぜて描く上巻。一転して下巻ではキリシタン暗黒時代を描きます。密告の恐怖、公開処刑の残虐さ、信仰への迷い、教えを棄てたと偽りながらも信念を曲げない隠れキリシタンたちの姿に、感動の涙が止まりません。
2位 白村江 白村江(はくそんこう) 荒山徹 PHP研究所
大化の改新から朝鮮半島で起きた白村江の戦いを描いた本格古代歴史ロマン。百済の王子・余豊璋、新羅王族・金春秋、倭国の豪族・蘇我入鹿、そして葛城皇子(中大兄皇子の名で知られる、後の天智天皇)の四人を中心に激動の東アジア情勢を描いています。朝鮮半島の歴史に精通した著者の面目躍如たる、伝奇性、エンタメ性も兼ね備えた会心作です。
3位 天の女王 天の女王 鳴神響一 エイチアンドアイ
フラメンコをこよなく愛する日本人教授が17世紀にスペインに残留した若いサムライの謎を解き明かす歴史冒険ミステリ。その17世紀の物語は、慶長遣欧使節団を率いた支倉常長の家臣が主人公で、実在の人物たちも登場する、“愛”と“美”に溢れる、ハラハラドキドキが最後のページまで続く、傑作時代小説になっています。
4位 この世の春 上 この世の春 上・下 宮部みゆき 新潮社
北見藩藩主・北見重興は、心の病により隠居させられて、藩主の別邸の座敷牢に幽閉されます。作事方の出戻り娘多紀は、若き医師や元江戸家老らとともに重興を救うため奔走することに。正体のわからない恐怖とサスペンス、息もつかせないストーリー展開、読了感もよい、作家生活30周年の集大成的な作品で、宮部ワールドを堪能できます。
5位 西郷の首 西郷の首 伊東潤 KADOKAWA
西郷の首を発見した男・千田文次郎と、大久保利通を暗殺した男・島田一郎。幕末~明治という激動の時代に翻弄された二人の旧加賀藩士を通して、武士の世の終焉を描いた、熱くて切ない物語です。
6位 敵の名は、宮本武蔵 敵の名は、宮本武蔵 木下昌輝 KADOKAWA
短編連作形式で、宮本武蔵の敵として、敗者となった七人の男たちの側から真の武蔵像を描いています。とくに、父・宮本無二斎の存在感が圧倒的で、父子関係が凄いと思いました。

7位 鳳凰の船 鳳凰の船 浮穴みみ 双葉社
箱館で洋式帆船作りをしていた船大工・豊治のもとに、伊豆の船大工・上田寅吉が訪れる。二人の出会いを描く表題作をはじめ、明治初期の函館(箱館)を舞台にした5つの珠玉の短編。北海道開拓史の一端に触れられる点でも興味深い作品です。
8位 遠縁の女 遠縁の女 青山文平 文藝春秋
五年の剣術修行から国に戻った男が直面した驚愕の現実を描く表題作のほか、「機織る武家」と「沼尻新田」の3つの中篇小説を収録。着想の妙、ストーリー展開の巧みさが端正な文章で引き立ち、武家小説の粋を堪能しました。
9位 煌(きらり) 煌(きらり) 志川節子 徳間書店
吉田(東海道)、市川大門(甲斐国)、長崎、江戸、長岡などの地を舞台に、花火をモチーフにした短編集。人情と人生模様を、花火の音と光になぞらえて描き、その情景描写の美しさ、余韻が胸に残ります。
10位 裏関ヶ原 裏関ヶ原 吉川永青 講談社
「表」の「関ヶ原」と同じころ、「裏」である全国各地で戦った武将たち(黒田如水、佐竹義宣、細川幽斎、真田昌幸、最上義光、織田秀信)を描いた短篇集。戦に挑むそれぞれのドラマが文句なしに面白かったです。

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