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2016年時代小説ベスト10 単行本部門

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年末に刊行されていた『この時代小説がすごい!』(『この時代小説がすごい!』編集部・宝島社)の発行が2016年(2017年版)はありませんでしたので、「時代小説SHOW」のベスト10は、当サイトにて掲載します。

対象は、奥付表記が2015年10月1日から2016年9月30日発行の時代小説作品(シリーズ)で、単行本で刊行された作品になります。

順位 タイトル 著者 出版社・レーベル
1位 家康、江戸を建てる 家康、江戸を建てる 門井慶喜 祥伝社
荒地だった江戸に幕府を開いた家康が、どのようにしてインフラ整備をして街づくりしていったのかを、その命を受けて計画を実行した技術職の家臣たちにスポットを当てて描いた短編集。とくに利根川の東遷に心血を注いだ伊奈忠次が感動的。
2位 室町無頼 室町無頼 垣根涼介 新潮社
室町時代中期、幕府の弱体化が進み治安が悪化する中を駆け抜けた、3人の男たちを描いた物語。手垢が付いていないユニークな題材と個性的な登場人物、疾走感があるストーリー展開で、物語の世界に引き込まれます。
3位 くせものの譜 くせものの譜 箕輪諒 学研プラス
武田家滅亡から大坂の陣まで、数多の主家を渡り歩いた御宿勘兵衛。類いまれな武勇を持ちながら「厄神」と忌み嫌われた勘兵衛と、彼とかかわってしまった武将たちの生き様と矜持、「くせもの」ぶりが活写されていて面白い。
4位 はだれ雪   はだれ雪 葉室麟 KADOKAWA
扇野藩(架空の藩)を舞台にした武家小説。浅野内匠頭の刃傷事件と赤穂浪士の討ち入りに絡めてストーリーが展開していき、感動しました。
5位 江戸を造った男 江戸を造った男 伊東潤 朝日新聞出版
幕府の公共事業に関わり、東廻航路・西廻航路の整備、治水・灌漑・鉱山採掘などの事業を成功させた、豪商・河村屋七兵衛(河村瑞賢)の一代記。働く人へのメッセージが込められています。
6位 眩(くらら) 眩(くらら) 朝井まかて 新潮社
北斎の娘で、女絵師・葛飾応為(お栄)の半生を描いた長編小説。絵に人生のすべてをかけた、リアルな応為像が描かれています。
7位 ヨイ豊 ヨイ豊 梶よう子 講談社
こちらも絵師の世界。歌川派の大看板、三代豊国の跡目をめぐる二人の兄弟弟子を描いた作品。幕末の不穏な江戸の空気が絵師たちの目線で伝わってきます。
8位 陶炎 古萩 李勺光秘聞   陶炎 古萩 李勺光秘聞(とうえん こはぎ りしゃっこうひぶん) 鳥越碧 講談社
萩焼の祖となる李勺光は、秀吉の朝鮮出兵で日本に連れてこられて毛利家に預けれた陶工。身を捧げた武家の女の運命と藩窯の秘史を描く長編小説。知られざる物語と女性の深い業に引き込まれました。
9位 義貞の旗 義貞の旗 安部龍太郎 集英社
腐敗と堕落に満ちた鎌倉幕府を倒し、建武の新政に貢献した、太平記の雄・新田義貞の劇的な生涯を描いた長編。義を重んじ、武勇に優れていた義貞が描かれていて魅力的。
10位 水戸黄門 天下の副編集長 水戸黄門 天下の副編集長 月村了衛 徳間書店
水戸徳川家の一大プロジェクト『国史』(『大日本史』)の編修(編集)作業の遅延に業を煮やした光圀公は、遅筆揃いの不届き執筆者たちの元へ、原稿取り立ての旅に出るという設定で、現在の出版業界の業界ネタが盛り込まれて、時代劇のパロディとして秀逸。痛快です。

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