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この時代小説・文庫がすごい10(2005年版)

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この文庫がすごい!2005年版
年末に、部屋の片づけをしていて、『この文庫がすごい!2005年版』(宝島社)が見つかった。時代小説部門に、ベスト10を寄稿していて、その原稿も見つかったので紹介したい。

1位 『生きる』 乙川優三郎
2位 『信長燃ゆ』 安部龍太郎
3位 『魔風海峡』 荒山徹
4位 『幽恋舟』 諸田玲子
5位 『あかね空』 山本一力
6位 『続巷説百物語』 京極夏彦
7位 『蒼き海狼』 火坂雅志
8位 『湖賊の風』 高橋直樹
9位 『蜻蛉始末』 北森鴻
10位 『遊部』 梓澤要

生きる
『生きる』は殉死という江戸初期特有の重いテーマを扱いながら、現在を生きる我々に勇気を与える感動作。人生の岐路で謎ったときなど、折に触れて読んでいきたいそんな大切な一冊だ。

天皇や公家との関係という新しい視点から信長を骨太に描いた『信長燃ゆ』。歴史の面白さが堪能でき、本能寺の変の謎もすっきり解決した。

『魔風海峡』は、秀吉の朝鮮出兵の陰で、日・朝両国の命運を賭けたすさまじい暗闘を描く時代伝奇ロマン。真田忍郡と高麗七忍衆の忍法対決が山田風太郎を想起させる。

蒼き海狼
鎌倉時代の元寇に対抗すべく、格闘技を修得した主人公が元に潜入する『蒼き海狼』は、全アジアを舞台にしたスケールの大きな冒険活劇。

『幽恋舟』は、人生の先が見えたような中年の旗本と狂気の血筋におびえる若い女の恋を綴った新感覚のサスペンス時代小説。

『蜻蛉始末』は、明治時代の実在した贋札事件を取り上げた歴史ミステリーで、推理小説的な手法で最後まで一気に読ませる。

◎追記(2011年12月31日)

原稿の文字数の関係で触れられなかった作品について一言。

『湖賊の風』は室町時代の琵琶湖を縄張りとして活躍する海賊を主人公とした異色の時代小説。『遊部』は、東大寺の宝物庫を守る一族を描いた戦国伝奇小説。

宮部みゆきさんの『ぼんくら』をベスト10に挙げなかったのは、単行本刊行時に読んでいて、文庫刊行時に再読していなかったためリストから漏れてしまった。しかしながら、当時挙げたベスト10は、時代小説の持つ多様性や可能性を表したものになっていると思う。

ちなみに、『この文庫がすごい!2005年版』の時代小説部門は下記のとおり。

1位 『ぼんくら』 宮部みゆき
2位 『信長燃ゆ』 安部龍太郎
3位 『あかね空』 山本一力
3位 『魔風海峡』 荒山徹
3位 『退屈姫君 海を渡る』 米村圭伍
6位 『続巷説百物語』 京極夏彦
7位 『さんだらぼっち 髪結い伊三次捕物余話』 宇江佐真理
8位 『丹下左膳』 林不忘
9位 『生きる』 乙川優三郎
10位 『伝奇城』 編/朝松健、えとう乱星
10位 『幽恋舟 諸田玲子』

※『この文庫がすごい!2005年版』が厳選した20名が回答したアンケートをもとに、1位=10点、2位=9点、3位=8点…というルールで集計したもの。